振幅フィルタe…－pを用いた回折実験.pdfVIP

170 生　産　研　究 振幅フィルタe…－pを用いた回折実験 朝倉利光・菊池恭孝 光学系の開口での光の振幅分布を変えることで，回折像の性質が決定される．ここ では著者の提案による特別な振幅フィルターによる回折像強度分布の理論的考察を 行ない，次いでそのフィルターを実際に製作し，それを用いた実験結果を報告する． ある．第3にフィルターリングの操作を行なうと，回折 1．　緒 言 　回折現象に伴う光学像の劣化を改良する方法にフィル 下するのが常である．しかし中心強度をできるだけ高く ターリングの技術がある．光学系の開口上で位相，振幅 保ち，その他の目的にかなうような開口上の振幅分布を 分布を変えることで，回折像の性質が決定されることは 与える瞳関数を求めることがフィルターリングの理想と よく知られている．適当な複素透過率を有するものを出 2．0 射瞳に入れ，結像特性を希望のものにする研究は，apo・ dization（本来の意味は高次回折像を除去することであ ，，“乙グ 嵐継 るが）という名で盛んに行なわれてきた1）．実際には， 金属の薄膜や非金属をレンズ上に蒸着させるとか，特別 　1．5 なフィルターを用いるとかして実現される．ここでは著 F（r） 者の一人（朝倉）2）が理論的に研究してきた不均一な振幅 分布を有するフィルターを用いた場合の回折像の変化状 態を理論的に解説し，次にこのフィルターを製作し，そ 1．0 れを用いての回折実験に焦点を合わせて報告する， ！〃 2．　理 論 〃 隙 　（1）　振幅フィルター 0．5 　ここで提案する振幅フィルターは，apodizationの本来 の意味である高次の回折像を除去することのほかに，回 折像の中心強度をある程度高く保っことや，Rayleigh の意味の分解能の増加を計ることを目的とするものであ る．このための振幅フィルターとして 1 0．5　　　0　　　　0．5 1 　　　　r 　　　　F（r）－a・・＋（・一号）　　　　（・） 第1図 振幅フィルターの形態 1という放物線の瞳関数を選ぶ（極座標を用いてある）． するところである，（1）を用いると，aに無関係に中 ただしaは一2≦a≦2の範囲の常数である．この瞳関 心強度は一定である，すなわち，不均一な開口上の振幅 数を図にすると，第1図のようになる．したがってaが 正のときの（1）を正の振幅フィルターと名づけ，負の を与えてくれる．第4に開口から出る光量が一定に保た ときを負の振幅フィルターと呼ぶ．この振幅フィルター一 れている．一般に振幅フィルターを使うと，場合に応じ を選び研究することに，次のようないくつかの基本とな て光量が変化するが，この場合はaの値のいかんにかか る重要な