都市高齢者の友人関係に関する一考察.PDFVIP

　　Kobe University Repository : Kernel Title 都市高齢者の友人関係に関する一考察 Author(s) 小田, 利勝 Citation 神戸大学発達科学部研究 要, 10(2): 491-502 Issue date 2003-03 Resource T pe Departmental Bulletin Paper / 要論文 Resource Version publisher URL http://www.lib.kobe-u.ac.jp/handle_kernel Create Date: 2016-01-19 (491) 神戸大学発達科学部研究紀要 第10巻第2号 2003 都市高齢者の友人関係に関する一考察 小田 利勝* SomeConsiderationsaboutFdendshipofElderlyJapaneseLiving inanUrbanArea ToshikatsuODA 1.日的 高齢期における社会関係の問題は､ソーシャル･ネットワークやソーシャル･サポート､サポート ･ネットワークなどの名称の下で数多く研究されてきたが (例えば､wenger,1984;Ward,1985; sauerandCowa rd,1985;Litwin,1966;pearlineta1.,1996;野口,1991)､高齢化の進展に伴って 介護や自立支援にかかわるソーシャル･サポートやサポート･ネットワークへの関心が高まってきた ことから､近年あらためて関心を集めるようになってきている (浅川ほか,1999;古谷野ほか,2000 ;上羽,2001;高田,2002)｡ ソーシャル･ネットワークは､それを構成する成員の属性や関係の契機によって幾つかの下位ネッ トワークに分類することができる｡それらは､血縁や婚姻に基づく親族ネットワーク､地縁に基づく 近隣ネットワーク､職業･職務に基づくフォーマルな職域ネットワーク､そして､友人･知人関係 (以後､友人関係で代表する)から成り立つネットワークである｡いうまでもなく､それらは､たと えば､親族ネットワークと近隣ネットワークが重なることもあれば､近隣ネットワークと友人ネット ワークが重なることもある｡そうした様々なネットワークの中で人間は生活しているわけであるが､ このうち､友人関係のネットワークは､親族ネットワークや近隣ネットワーク､職域ネットワークに 比べて､ネットワークを構成する成員の属性や関係の成立･形成の契機が多様である｡その理由は､ 他者と関係を形成するかしないか､あるいは､そのネットワークの成員になるかならないかというこ とに関して､友人ネットワークは､他のネットワークに比べて本人の意向に沿った選択の余地が大き いからである｡言い換えれば､友人ネットワークの特徴は､関係の成立･形成に際しての主意的選択 性が高い (被拘束性が低い)ということである｡したがって､上であげた他の下位ネットワークに比 べて､友人ネットワークは､その規模や広がり､頻度といった構造面での個人差が大きいことになる｡ そのために､友人関係や友人ネットワークの意義についての議論は多いが､その基本的部分に関して は不明な部分も少なくない｡そこで､本稿では､都市在住の高齢者が取り結んでいる友人関係の量と 質､友人関係が形成されるようになったきっかけについて探ることとする｡ *神戸大学発達科学部人間科学研究センター 神戸市灘区鶴柑 11oda@kobe-u･ac･jp (283…葦壬2男子王呂 霊宝) - 183- (492) 神戸大学発達科学部研究紀要 第10巻第