名詞の概念化における類型化の試み.pptVIP

名詞の概念的役割解釈における類型化の試み 李 在 鎬、黒 田 航、井 佐 原 均 （独）情報通信研究機構 けいはんな情報通信融合研究センター 日本語用論学会＠京都大学 2005/12/10 発表概要 (1/3) 目的 名詞の概念化における意味役割の類型化を行う 方法 名詞の（概念化の帰属先としての）意味役割における一般的問題を示す(黒田?井佐原(2005))。 語の用途内在性を表す「～の代わり」構文を調査し名詞の意味役割の一般的類型を明示。 コーパス調査によるデータの明示化 共起テストによる判断の明示化 統計的手法（クラスタ分析）による分析の明示化 発表概要 (2/3) ケーススタディー（「～の代わり」構文） 例）啓蒙主義者は神の代わりに人間理性を信じた。 「X（Y）の代わりにZ」でデータを整理 変項「X、Y、Z」を人手で特定する 発表概要 (3/3) 主張と示唆 名詞が持つ意味役割の５つの類型を示す 手段（e.g. 言葉の代わりに涙があふれ出た） 対象（e.g. カサゴの代わりにメバルだっていい） 方法（e.g. 直接支援の代わりにテロ支援策を強化） 道具（e.g. 人質の代わりに女性警官をよこせ） 具体例（e.g. 分散の代わりにここでは分裂という言葉を使う） 名詞の多義の体系的分析の可能性を示す 意味論と語用論の分離不可能性を示唆 問題提起 (1/3) 先行研究（黒田?井佐原(2005), 黒田?中本?野澤(2005)） 語の意味に対する二つの区別を提案 意味型と意味役割 問題提起 (2/3) 具体例：「本」の意味を記述する 問題提起 (3/3) 本論の問題意識 語の指示に関する古くて新しい問題(國広1982, 小野2005) メトニミによるものと考えられているが、その必ずしも内実を明らかでない。 メカニズムが分かったとしてもその分布（どこに、どう、どれだけ、分布しているのか）を予測することはできない。 記述的要請（内実を明らかにするために） ランダムに存在するのではないことを示す必要あり 役割間の体系性を示す必要あり → まとまったデータを対象に、語とその役割の「関係」を横断的に観察し、一般化する コーパス調査の概要 調査プラン設計 調査目的：名詞が喚起する行為の可能性(用途性)を調査。 分析方法：（黒田?井佐原 (2005)が言及対象の問題を議論したのに対して）行為との関係で役割を捉える＊。 データと分析方法 (1/3) データと加工法 利用データ：日英新聞記事対応付けデータ 読売新聞と The Daily Yomiuri から自動作成された日英対応付けコーパス （http://www2.nict.go.jp/jt/a132/members/mutiyama/jea/index-ja.html） 情報通信研究機構 自然言語グループ提供 収集法 「～の代わり」でKWIC検索 該当しないデータを人手で除去 加工と解析 「X（Y）の代わりZ」のテンプレートで変項を特定 データと分析方法 (2/3) データと分析方法 (3/3) 加工と解析 変項（X,Y,Z）を特定したあと、変項間の関係を共起テストによって特徴づける 共起テストの詳細（変項間の等価性をテスト） XがすることをZがする XがYになり、ZもYになる XがYになる XはYだ XでYをする XをYにする YとしてXを使う 判定：容認度に応じて1、0.5、0で評価 データ見本 結果 (1/5) 「～の代わり」構文の三つの意味 交換、交替、代用の特定 ジーコ監督は服部の代わりに、中西を左サイドバックで先発起用する考えを示した。 (金のかかる)常勤教員の代わりに非常勤講師を増やす。 分散の代わりにここでは分裂という言葉を使いたい。 結果 (2/5) 代用グループのより詳細な調査１ 多様な役割の出現 分散の代わりにここでは分裂という言葉を使いたい。 「人質の変わりに女性警官をよこせ」などと要求した。 言葉の代わりに涙があふれ出た。 今回もカサゴの代わりにメバルだっていいんです。 直接支援の代わりに継続中のテロ支援策を強化し、側面支援の姿勢を明確にしたい 結果 (3/5) 代用グループのより詳細な調査２ 共起テスト XがYになる XはYだ XでYをする XをYにする、 YとしてXを使う。 結果 (4/5) 階層関係を調べる１ 結果 (5/5) 階層関係を調べる２ まとめと示唆 分析の結果として Y（語の意味役割）における体系性を示す（というより体系的分析が可能だということを示唆） 理論的示唆 語彙の意味役割の解釈においても語用論的知識が入り込んでおり、そこに体系性が見られる。 語彙の