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①最高裁商亜27年2月19日第三小法廷判决.doc
民法:判例とその発展(担当:道垣内弘人)
判例も変化しうるものである。
最高裁判決がルールを提示すると、さらに、その解釈が問題になる。
(1)判例の確立
①最判昭和27年2月19日民集6巻1号110頁
(2)「有責」の要件の緩和
②最判昭和30年11月24日民集9巻12号1837頁
③最判昭和31年12月11日民集10巻12号1537頁
(3)隣接領域での態度変化
④最判昭和58年4月14日民集37巻3号270頁
⑤最判昭和61年11月20日民集40巻7号1167頁
(4)下級審判決の変化
⑥東京高判昭和55年5月29日判時968号62頁
⑦仙台高判昭和59年12月14日判時1147号107頁
(5)判例の変更
⑧最判昭和62年9月2日民集41巻6号1423頁
(6)別居期間
⑨最判昭和63年4月7日家月40巻7号171頁
⑩最判昭和63年12月8日家月41巻3号145頁
?最判平成元年3月28日家月41巻7号67頁
?最判平成2年11月8日家月43巻3号72頁
?福岡高判平成16年8月26日家月58巻1号91頁
(7)未成熟子
?最判平成6年2月8日家月46巻9号59頁
?東京高判平成19年2月27日判タ1253号235頁
(8)過酷性
?東京高判平成14年6月26日判時1801号80頁
?東京高判平成20年5月14日家月61巻5号44頁
①最高裁昭和27年2月19日第三小法廷判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人の上告理由は末尾別紙記載のとおりである。
論旨第一点に対する判断。
被上告人が原判決判示の如く上告人に水をかけたとか、ほうきでたたいた等の行為をしたことは誠にはしたないことであり、穏当をかくものではあるが右様のことをするにいたつたのは上告人が被上告人と婚姻中であるにかかわらず婚姻外の清水笑子と情交関係を結び同女を姙娠せしめたことが原因となつたことは明らかであり、いわば上告人自ら種子をまいたものであるし、原審が認定した一切の事実について判断すると被上告人の判示行為は情において宥恕すべきものがあり、未だ旧民法第八一三条五号に規定する「同居に堪えざる虐待又は重大なる侮辱」に当らないと解するを相当とする、従つて右と同趣旨である原判決は正当であつて論旨は理由がない。
同第二乃至第四点に対する判断。
論旨では本件は新民法七七〇条一項五号にいう婚姻関係を継続し難い重大な事由ある場合に該当するというけれども、原審の認定した事実によれば、婚姻関係を継続し難いのは上告人が妻たる被上告人を差し置いて他に情婦を有するからである。上告人さえ情婦との関係を解消し、よき夫として被上告人のもとに帰り来るならば、何時でも夫婦関係は円満に継続し得べき筈である。即ち上告人の意思如何にかかることであつて、かくの如きは未だ以て前記法条にいう「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するものということは出来ない。(論旨では被上告人の行き過ぎ行為を云為するけれども、原審の認定によれば、被上告人の行き過ぎは全く嫉妬の為めであるから、嫉妬の原因さえ消滅すればそれも直ちに無くなるものと見ることが出来る)上告人は上告人の感情は既に上告人の意思を以てしても、如何ともすることが出来ないものであるというかも知れないけれども、それも所詮は上告人の我侭である。結局上告人が勝手に情婦を持ち、その為め最早被上告人とは同棲出来ないから、これを追い出すということに帰着するのであつて、もしかかる請求が是認されるならば、被上告人は全く俗にいう踏んだり蹴たりである。法はかくの如き不徳義勝手気侭を許すものではない。道徳を守り、不徳義を許さないことが法の最重要な職分である。総て法はこの趣旨において解釈されなければならない。論旨では上告人の情婦の地位を云為するけれども、同人の不幸は自ら招けるものといわなければならない。妻ある男と通じてその妻を追い出し、自ら取つて代らんとするが如きは始めから間違つて居る、或は男に欺された同情すべきものであるかも知れないけれども少なくとも過失は免れない。その為め正当の妻たる被上告人を犠牲にすることは許されない。戦後に多く見られる男女関係の余りの無軌道は患うべきものがある。本訴の如き請求が法の認める処なりとして当裁判所において是認されるならば右の無軌道に拍車をかける結果を招致する虞が多分にある。論旨では裁判は実益が無ければならないというが、本訴の如き請求が猥りに許されるならば実益どころか実害あるものといわなければならない。所論上告人と情婦との間に生れた子は全く気の毒である、しかし、その不幸は両親の責任である。両親において十分その責を感じ
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