弦巻技官へ-tmfact001.eng.niigata.docVIP

自動車用トランスミッションと駆動系 １?１　はじめに 13-2 １?２　トランスミッションの歴史 13-2 １?３　目的 13-2 １?４　使用器具および作業工具 13-2 １?５　注意 13-2 １?６　作業工具の取り扱い 13-2 １?７　実習内容 13-3 自動車用トランスミッション)と駆動系 １?１「はじめに」 自動車は速く走ったり、遅く走ったり、あるいは坂を登ったり、ストップやスタートを繰り返したり、また、バックしたりという、複雑な走行条件をスムーズにこなさなければならない。しかし、エンジンだけでの力でこれを行うとすれば、巨大なエンジンが必要になるし、エンジンが大きくなれば重量も増えるのでまた同じことになるばかりか、低速時には大変なムダとなる。そこでどうしても必要な物として考え出されたのがトランスミッション（変速機）である。 トランスミッションは歯車を使用したトルクの変換機で、一般に運転者の手動によって車の駆動力と速度をコントロールするようになっている。トランスミッションの基本的な構成は小歯車と大歯車あるいは同じ程度の歯数の歯車を２本のシャフトの間に何組も噛合わせてあり、この歯車の間に歯車の組み合わせを変えるためのドッグクラッチと、それを操作するためのフォークやリンク機構、およびシフトレバーから成り立っている。また、歯車群は鋳物製のケース内におさめられ、底部には少量のオイルが入っていて、歯車自体が回転によって潤滑するようになっている。 １?２「トランスミッションの歴史」 トランスミッションの元祖的なタイプは歯数の異なる歯車自体の噛合わせを変える“選択摺動式トランスミッション”であった。しかし、回転速度が違う歯車を噛合わせるためどうしてもスムーズにはいかず、はね返されたり無理をすれば“ガリガリッ”と大きな騒音を発した。その後、歯車を傷めないために歯車同士は初めから常に噛合わせておく“常時噛合式トランスミッション”となった。これはドッグクラッチという頑丈な噛合いクラッチを設けたものである。しかしこれでもスムーズ性に欠け、騒音も高かったため、シンクロメッシュ（同期噛合機構）をつけた常時噛合い式に発展し、現在に至っている。 １?３「目的」 前輪駆動および後輪駆動用自動車トランスミッションの分解?組立を通して、その内部構造を理解する。基本的な機械要素の観察を行う。また、作業工具の安全な使用方法を習得する。 １?４「使用器具および作業工具」 自動車用トランスミッション、メガネレンチ、ヘキサゴンソケット、プラスチックハンマ、整理用コンテナーボックス １?５「注意」 トランスミッション各部は機械加工されたままの状態になっている。また、オイルで汚れている。したがって、分解?組立の際には怪我に十分注意すること。 トランスミッションは重量がかなりあり、固定もされていないので取り扱いは慎重に行う。 １?６「作業工具の取り扱い」 第１１章を参照すること。 １?７「実習内容」 １．J１６０型トランスミッションのインプットシャフトを手動で回転させアウトプットシャフトの回転から変速比を求め、表１３?１に記入する。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　表１３?１ 図１３?１　トランスミッションの原理 図１３?２ギヤの組み合わせ ２．表１３?１より１速とリバースの変速比が同じくらいな理由を考察せよ。 ３．軽自動車、ブルーバード、ＡＥ８６、ヴィッツ４WDの減速比を求め、表１３?２に記入する。　　　　　　　　　表１３?２ 歯数 減速比 最小公倍数 排気量（cc） 軽自動車 ／ 660 ブルーバード ／ 1800 シルビア ／ 1800 アルテッツァ ／ ４．１００ 2000 ＡＥ８６ ／ 1600 ヴィッツ４WDフロント ／　／　／ 1300 ヴィッツ４WDリア ／ ヴィッツ４WDトランスフォア 　／　 ＊アルテッツァの歯数を推測してみる。 　　　　 　 　　　　　　　　　　　　　　　　　＝　　　　　　　　　＝ 　　　　　　　　　　　 ４．駆動方式 自動車が走るために、エンジンの力を車輪まできちんと伝える部品群を動力伝達系統という。このうち、エンジンを入れずトランスミッション以降の動力伝達系統を駆動系統と呼んでいる。駆動方式の違いは車の性格を左右する重要な要素であり、主なものを表１３