日本とスコットランド.PDFVIP

2012年度日本カレドニア学会公開講座 日本とスコットランド 講座の概要と講師紹介 日本カレドニア学会は、スコットランド文化の啓発をその活動の一つとして掲げており、この考え のもと、2006年より公開講座をはじめました。これまでに音楽、食文化、思想的・文化的風土、ロ バート・バーンズなどをテーマとして取上げ、聴講者から高い評価をいただきました。昨年度と一 昨年度は2年連続企画として「スコットランドの歩き方」をテーマにし、様々な土地を文学、歴史、民 俗、文化などの観点からさらに深く紹介しました。 本年度は「日本とスコットランド」をテーマに、明治維新時の日本近代化に深くかかわったスコッ トランド人やスコットランド文学から影響を受けた日本人作家を紹介し、また地方自治活動やスコッ トランド文学の翻訳にみる現代スコットランド事情、さらにはスコットランド版忠犬ハチ公ともいえる グレイフライアーズ・ボビーの真実の姿、雑誌編集を通してのスコットランドのもつ様々な顔を専門 の講師がお話しいたします。日本や日本人がいかにスコットランドと深いかかわりをもっているか がおわかりいただけますとともに、スコットランドがさらに身近に感じられることと思われます。 日程 第1回6月2日 （土） 1. 13:30－14:50 講師 稲永丈夫 （NPO日本スコットランド協会） 「日本近代化に参画したスコッツ父祖列伝」 2. 15:10－16:30 講師 樋口陽子 （元鹿児島国際大学） 「グレイフライアーズ ・ボビーと日本」 第2回6月9日 （土） 1. 13:30－14:50 講師 坂本恵 （福島大学） 「スコットランド自治拡大の現状と日本の地方自治の課題」 2. 15:10－16:30 講師 三村美智子 （NPO日本スコットランド協会） 「スコットランドと日本の関係から学ぶ― 『蘇格蘭通信』の編集を通して」 第3回6月16日(土) 1. 13:30－14:50 講師 有元志保 （東洋大学） 「フィオナ ・マクラウドの日本受容―野口米次郎、松村みね子、尾崎翠」 2. 15:10－16:30 講師 松井優子 （青山学院大学） 「現代スコットランド小説翻訳事情―日本語で出会う物語」 ＊ ＊ ＊どなたでも聴講できます。お気軽にご参加下さい。＊ ＊ ＊ 1 会場 拓殖大学 ・文京キャンパス C館305 （6月2日・16日）、C館304 （6月9日） 文京区小日向3-4-14 （東京メトロ丸の内線 茗荷谷駅下車 徒歩3分） 参加費 各回500円 （資料代） 内容と講師紹介 稲永 丈夫（いななが ますを） 日本近代化に参画したスコッツ父祖列伝 周知の通り、日本の近代の夜明けを告げる明治維新は、単なる王政復古ではなく、700年も続 いた武士支配の封建制と決別する革命であった。しかし、革命の前進に大きく立ちはだかったの は、幕府が残した屈辱的な治外法権を盛った江戸条約であった。治外法権を認める近代国家など ただ あり得ない。唯、日本には当時近代国家に相応しい体制自体が皆無であり、「国造り」こそ正に焦 しょうけい 眉の急であった。その捷径として採用されたのが、先進西洋諸国の人材を重用することだった。中 でも、産業革命を世界に先駆けて達成し、「世界の工場」と言われたスコットランドは、国造りに最 も必要な技術、産業、知識、人材の格好の供給源となった。結果、日本の近代化に参画した数多 くのスコッツは、広範な分野で「父祖」となり、今日も崇敬を集めている。 プロフィール 1936年、鹿児島の指宿に生れるも主に大阪育ち。1958年、大阪外大（現大阪大学外国学部）を卒 業し住友商事入社。主に鉄鋼輸出畑を歩み、メキシコ・シティ、リオデジャネイロ、ロンドン各地に 通算20年駐在、最後にジェトロのシニア・アドバイザーとして、2年間グラスゴウに滞在しスコットラ ンド企業の対日輸出を支援指導した。帰国後はジェトロの輸入促進アドバイザー及びスコットラン ド通商代表部日本代表を各々3年勤めた後