01-06寄稿作野様-一般财団法人土地総合研究所.PDFVIP

36 土地総合研究 2016年春号 特集 新しい国土形成計画、国土利用計画をめぐって 人口減少社会における国土形成計画が果たす役割 ―中国圏広域地方計画の視点から― 島根大学教育学部 教授 作野 広和 さくの ひろかず １．はじめに 土計画では、全国が同じ目標に向かうと同時に、 新たな国土形成計画（全国計画）は、年 均衡ある発展を目指してきた （表１）。そのため、 月 日閣議決定された。平行して、各圏域で広域 大都市圏と地方圏を意図的に区分するのではなく、 地方計画の見直しも進み、年度末までに策定 むしろ一体的に扱うことで、その目的を達成しよ された。 うとしてきた。ただし、地方圏において国家が主 国土形成計画は、全国総合開発計画（全総）に 導するような個別計画は多く存在していた。例え 端を発する国土計画の流れを汲んでいる。年 ば、新産業都市は経済・産業集積の分散を意図し に制定された全総以降、新全国総合開発計画（新 た政策であったし、工業整備特別地域は新産業都 全総、 年）、第三次全国総合開発計画（三全 市とともに「拠点開発方式」と言われる法律に基 総、年）、第四次全国総合開発計画（四全総、 づいたプロジェクトであった。また、グランドデ 年）、世紀の国土のグランドデザイン（グ ザインの際には国土軸が主要なキーワードであり、 ランドデザイン、年）と、～年単位で国 それに基づいた個別計画もあった。だが、いずれ 土計画は見直されてきた。その都度、国が置かれ も点や線の取り組みであって、個々の圏域全体に た社会情勢に応じて中心に据えられるキーワード 及ぶ独自の計画が存在していたわけではない。現 は異なるが、いずれも根拠法令は国土総合開発法 在の国土形成計画は広域地方計画の策定を義務づ であった。この間、大都市圏（首都圏、名古屋圏、 けており、そのような意見では画期的な計画であ 近畿圏）に関する整備計画は存在するものの、そ るといえる。その際、広域ブロックの自立ととも の他の圏域に関する地方の国土計画は存在しなか に、東アジアを中心としたグローバルな交流・連 った。 携も掲げている点も忘れてはならない。 このような国土計画のあり方を大きく転換させ 国土形成計画のもう一つの特徴は、人口減少社 たのが、年に策定された国土形成計画である。 会に対応した国土の形成を明示した点である。国 この計画の根拠法令はこれまでの国土総合開発法 土総合開発法にもとづく国土計画では、発展＝開 から、国土形成計画法に基づいている。そして、 発を基本理念としてきた。ところが、国土形成計 全国計画とともに、広域地方計画を策定すること 画においては人口減少下においても、