热应答性高分子の相转移とその应用に关する研究 study on the phase .pdf

熱応答性高分子の相転移とその応用に関する研究 Study on the phase transition dynamics of thermoresponsive polymer and its application 応用化学専攻 井上 隼仁 Department of Applied Chemistry Hayato Inoue レーザー温度ジャンプ法とヘテロダイン過渡格子法を組み合わせ、熱応答性高 分子として知られる poly(N-isopropylacrylamide) (PNIPAM) 水溶液の相転移ダ イナミクス測定を行った。溶液の光の透過率変化という巨視的な相転移過程のみ ならず、水和した高分子が、脱水和して収縮する、分子レベルでのダイナミクスが 存在することを見出した。さらに、相転移・相緩和・分子緩和等の相変化に関する 全体像をとらえることで、そこに付随する水和・脱水和にともなう分子構造変化に ついて考察を行った。また、熱応答性高分子の相転移にともなう親水性・疎水性、 極性などの環境変化を利用し、顕微鏡下において発生させた局所的な相転移領 域を用いた有機物質の抽出・濃縮・検出システムを考案した。 1. Introduction 材料表面に修飾して熱機能性を持たせたインテリ 熱 応 答 性 高 分 子 と し て 知 ら れ る ジェント材料の開発のほか、相転移によって物質 poly(N-isopropylacrylamide) (PNIPAM) や 捕集・放出を制御する、薬物伝達システム等の研 poly(vinylmethylether) (PVME) の水溶液は、室 究に興味が持たれている。 温では透明な均一状態であるが、ある温度以上に 加熱すると、白濁した混合状態に相転移し、再び 冷却すると再溶解するという可逆的な溶解挙動を 示すことが古くから知られている(Fig. 1). 熱応答 性高分子の相転移機構は、相転移温度以下で高 分子鎖は水和して広がった coil 構造をとりながら 溶解し、加熱とともに脱水し収縮した構造へと構 造転移すると考えられている。多くのタンパク質や 酵素が加熱により変性・失活するのと類似した挙 動を示す一方、非可逆的な応答を示す生体分子 とは異なり、可逆的に相転移するなど非常に興味 深い特性を持つ。 この熱応答性高分子水溶液の相転移過程は、 Fig. 1 熱応答性高分子の構造 巨視的には濁度変化として観測されているほか、 (a) PNIPAM, (b) PVME と 微視的には水素結合や疎水性相互作用変化が (c) PNIPAM 水溶液の相転移挙動 誘起されるため、可逆的に親水・疎水性、極性環 境が制御できると考えられる。この特性を生かし、 また、相変化にともなう高分子構造変化ダイナミ ジャンプ) により相転移を誘起した。試料として、 クスについては、蛍光プローブ法を用いて個々の PNIPAM 水溶液(3.0 wt%, Mw 25000, Tc=33.2 分子の相転移過程が、光の透過率変化を用いた oC) に、ヒーター分子としてクリスタルバイオレット 濁度法を用いて、相転移した分子が疎水性相互 水溶液(CV, 0.3 mM) を添加した。温調セルを用 作用により凝集する相分離過程などが観察されて いて相転移温度より僅かに低い温度まで温め、パ きた。しかし広い時間領域で連続的に起こる相転 ルス励起光(=532 nm, 14 mJ/pulse)