平成22年4月症例検讨会岐大前店-heisei.PDF

　　　　平成２２年4月　　症例検討会　岐大前店 ピック病について 　　「ピック病にはどんな薬使うの？」と聞かれ、症状、治療薬について調べてみました。 ☆ピック病とは・・・・ 初老期痴呆（４５～６５歳）の代表疾患の一つであり原因不明の大脳萎縮疾患。 初発症状は人格変化、情緒障害である。（記憶・見当識・計算力は保たれる） すなわち、　 ・自制力低下（粗暴、短絡、相手の話は聞かずに一方的にしゃべる） ・感情鈍麻 ・異常行動（浪費、過食・異食、なんでも口に入れる、収集、窃盗、徘徊など） などがあり、人格は変わり（無欲・無関心）、感情の荒廃が高度で、特に対人的態度が 特徴的である。 たとえば、人を無視した態度、診察に対して非協力、不真面目な態度、ひねくれた態度、 人を馬鹿にした態度などで病識はなし。 その他、会話中に同じ内容の言葉を繰り返す滞続言語も特有である。 ＣＴ（ＭＲＩ）では、局所性の脳萎縮 （側頭葉、前頭葉に多い）が認められる。 経過は２～８年（衰弱し死亡することが多い）である。 アルツハイマーとの比較 アルツハイマー型認知症 ピック病 病気部位 脳の後頭葉や頭頂が侵される 脳の前頭葉や側頭葉に萎縮が起きる 症状 「記憶の障害」 「行動の障害」 昼食を摂ったことを忘れるなど 同じことを同じ時間に繰り返すなど 診断治療 １００年ほど前に発見され、原因の １００年ほど前に発見されるが、 究明や治療の開発が不十分ながら世界共通の診断基準すらなく も進んでいる。 、発生頻度も不明。 発病年齢 高齢になるほど増える ４０代以降６５歳頃までに発病 することが多い 性差 女性にやや多い 性差なし ☆ピック病の治療 現在、ピック病に対する治療法はなし。 認知症の周辺症状に対しては、 ・睡眠導入剤 ・精神安定剤 ・抗てんかん薬 ・抗パーキンソン病薬 といった薬物療法が行われている。 薬物療法は難しく、生活リズムを崩すようなこともあり、薬によって逆に悪くなることもある。 また、自宅で家族が介護できず、入院するケースが多い。 しかし、プライバシーもなく落ち着かない環境での生活で悪化することがほとんどとのこと。 このようなこともあり、ピック病に対しては環境、生活リズムを調整することがとても重要だ と言われている。 現在ピック病専門のグループホームがあり、そこでは基本的に睡眠薬などの薬は使わずに 生活リズムを整えることによって、自然に寝かせてあげることができているとのこと。 この病気は 症状が進行してくると、他人のことはどうでもよくなってくる。 周囲の人に対しても自分がその気になったら勝手に干渉するし、その気にならなければ 一切関わらない、というようなことで介護しづらい。 しかし、同じ症状の方たちが集まると、逆にお互い干渉しあわなくて好きに生活ができると いうような報告もある。 ☆まとめ 今後、高齢社会になると認知症の頻度は高くなってくる。 その中でもアルツハイマー病に比べてあまり知られていないピック病だが、今回のことを きっかけに主な症状、治療の現状を知ることができた。 薬剤師としてより知識を深めていき、今後の業務に生かせていけたら良いと思う。