临床経験上腕骨颖上骨折.PDFVIP

|臨床経験 | 上腕骨穎上骨折 高橋昌美 榛省 成瀬 章 樋口幸夫 遠藤健次 松森 茂 小松島赤十字病院 整形外科 要旨 小児の上腕骨頼上骨折は、高所か らのlji五落、転倒の際、日常でよくみ られる肘外傷である。安易に治療されると、種々 な合併症を起こす可能性がある疾患である。まず、 機能障害を残さないことを第一に心がけた上で、内反肘という外見 上の醜状変形をできるだけ防止したい。内反肘は、 種々の因子の積みかさねで発生 しており、 今回我々 は、その成因及 び過程について検討した。結果、起こりやすい胃折型に回旋性の不安定性が潜在 している場合、長ili出方向への圧迫力が 加わると、 急性、亜急性をとわず、内側部が中枢側に転位して内反変形を起こす、という機序が推察された。治療につ いては、徒手整復後の肘頭牽引を中心とした保存的治療を第一選択としているが、牽引中の整復位が不良の場合は、観 血的治療に変更 している。今後、ますます経皮的ピニングや観正[[的手術が急増してくるだろうが、自然矯正をフルに活 用した安全な保存的治療をあくまで基本と考えたい。 キーワード・小児上腕骨頼上骨折、内反肘、治療法 る。高度内反肘をきたし、外反矯正骨切り術を行った はじめに 症例は 8{91Jで、 当院で骨折ーから治療した症例3例、他 医からの紹介5例である。男児 5例、女児3例で、右 小児上腕骨頼上骨折は、 高所から転落、転倒 し、 手 4例、 左 4例である。骨折受傷平均年齢は5才2ヵ月 をついた際によくみられる肘外傷の一つで、ある。合併 と全骨折症例平均より若い。手術施行年齢は 6才4ヵ 症 として、フォルクマン拘縮と呼ばれる循環障害が重 月か ら10才9ヵ月で、平均 8才5ヵ月である。 大であるが、非常にまれである。神経損傷による麻癖 骨折型は、{r: 31展型40例 (93%)、屈曲型3例c7%) も多 くは自然に回復する。他に、 骨折治癒後に多発す である。 {1~3 展型骨折を Smith分類に)1困じて分類する る内反肘という肘変形がある。この内反肘は、以前よ と1) 2)、minimaldisplacement1例 (2%)、mild り、その成因には様々な議論がある。また、上腕骨頼 displacement11{9IJ(26%)、moderaredisplacement 上骨折の治療法にいたっては、保存的治療から全 く正 12例 (30%)、completedisplacement16例 (40%) 反対の観血的治療の立場まであり、これほど治療に関 である (図 1)。高度内反肘症例の内、 当院治療例 して一定のコンセンサスが得られていない疾患は他に (3例)の骨折型は、 milddisplacement 1例、 ない、といっても過言ではない。今回、我々は上腕骨 1 moderatedisplacement2{9Jと骨折の転位度とあま 頼上骨折を、とりわけ内反肘症例を詳細に検討し、 多 り関係なし可。また、他医からの紹介例はすべて不明で 少の知見が得られたので報告する。 ある。この内、 経過を追え調査検討できた症例は、 骨 折例32例、 矯正骨切り術例 8例である。