人文科学编-东北大学附属图书馆.PDFVIP

第３章 原資料にあたる ３.２ 原資料にあたる－人文科学編 ３.２ 原資料にあたる － 人文科学編 これまで原資料というものは何か、書誌情報はどのようなものか、どう見つける のかについて概説しましたが、この節では、人文科学分野での特色ある原資料につ いて紹介します。 ３.２.１ 古典資料 人文科学分野では、哲学・史学・文学に代表されるように、過去の作品・史料に 基づいて研究を行う分野があります。これらの分野では、主として古典資料を資料 として読解し、その積み重ねから論文を作成することが多いので、研究における原 資料の比重は非常に大きくなります。この項では、古典資料の特色や具体的な検索 方法について紹介します。 (1) 古典資料探索のための基本事項 古典資料探索のためには、少なくとも筆記印刷方法における特色とテクストにお ける特色を理解しておくことが必要です。また古典資料の書誌情報はその特色に 則って表現されます。そこでここでは、古典資料を探索する場合、目録等の検索結 果を見てどの資料を使うかの判断に最低限必要な事柄について紹介します。 ① 筆記印刷方法における特色 古典資料には、本文が人の手によって書かれたものなのか、印刷されたものなの か、といった筆記印刷方法での違いがあります。 写本 写本というと、「写した本」と思いがちですが、「書写」という言葉から もわかるように、手書きの本を指します。これは刊本（印刷本）に対する概 念であり、紙の他に羊皮紙などを使った写本もあります。写本は誤字脱字、 故意による改変も多く、利用には注意が必要ですが、著名な人物による直筆 写本や、美しく彩色された装飾写本などもあり、非常に奥深い資料類型です。 136 ３.２.1 古典資料 刊本 刊本とは、版木や活字などによって印刷された本を言い、手書きとは異なっ て多くの部数が作成できるもので、版本と呼ぶこともあります。先に挙げた 写本に対する概念です。一枚の版木を彫り込んで印刷したものを整版本 とい い、これに対して一字ずつ彫刻または鋳造された文字を組み合わせて印刷し たものを活字本 と言います。 以下は刊本の一種ですが、原本（オリジナルの資料）をもとに作成された資 料です。読むだけのためには、通常はこれらに頼る事が多いでしょう。 影印本（複製本） 影印本とは、古典資料の写本・刊本の文面を写真で撮影し、それを製 版して印刷したものです。そのためテクス ト自体は写本・刊本と同じ 形状のものを見ることができます。 翻刻本 古典資料の写本・刊本を底本として、主に研究者が判読したテクスト を活字体に起こして印刷・刊行したものです。現在出版されている古 典資料はこの翻刻本が多いです。既に原本が失われてしまっている場 合は、翻刻本は、後世に作られたものではあっても貴重な原資料と言 えます。 マイクロフィルム・デジタル画像資料 また、古典資料には写真撮影による複製資料として、マイクロフィルムと デジタルの画像資料があります。マイクロフィルムは、保存や公開の観点か ら図書館などの所蔵機関が作成しているもので、専用の機械で拡大して見た り、そのフィルムを紙に印刷したりすることで、読むことができます。 デジタル画像資料は、インターネットな どの普及により、所蔵機関が資料 をデジタルスキャンしたデータを、ウェブサイトで公開しているもので、デー タ自体の劣化が少なく、国内外を問わず遠隔地に所蔵される資料を手元で確 認できることが利点です。これについては、(４)を参照して下さい。 137 第３章 原資料にあたる ３.２ 原資料にあたる－人文科学編 ② テクストにおける特色 古典資料は正確な印刷・