油脂加工技术-J-Stage.PDF

オ レオサイエ ンス 第1巻 第8号(2001) 871 入 門 講 座 油脂加工技術 ミヨシ油脂株式会社 高 橋 喜 和 1エ ステル交換 グ リセ リンに結合 している脂肪酸の配置 を替 えて トリ グ リセ リ ドの組成 を変化 させ,油 脂 の物性 を改質す るた めに行 う。 これはラー ドの結晶が粗大化 して組織がザク ザ クになるのを防止す ることか ら始まった。粗大化 は ラー ド中のSPOが再結晶 して β型 の大 きな結晶を作 る Fig.2ランダム型 お よび指 向型エステル交換 の例 ことにより生 じるが,エ ステル交換 は トリグ リセ リ ド組 (1)S:ステア リン酸 を示す。(2)0:オ ―レイ ン酸 を 成 をランダムに してSPOの量を減 らす ことにより,粗 示す。(3)E:グ リセ リン骨格 を示す。 大化 を防止す るものである。SPOは12.8%から3.7%へ 減少 し,SFIはFig.1i)のよ うに可塑性範囲の広い もの のグ リセ ロ リシス もこのエステ ル交換 であ る。 へ改質 され る。 装置 と してはバ ッチ式 の ものを以下 のFig.33)に示 し ナ・。 Fig.1豚肉のエステル交i換に よる 固体脂指数 の変化 エステル交換は使用す る触媒 によって化学法 と酵素法 の2つ がある。 Fig―3エステル交換用バ ッチ式反応槽 の代表例 1・1化学法 触媒 としてアルカ リ金属の アル コラー トやナ トリウ 反応 には一般的に触媒のナ トリウムメ トキシ ドを0.1～ ムーカ リウム合金等の化学物質 を使 う方法である。現 0.2%使うが,歩 留ま りをよくす るためには触媒の量は出 在,日 本で使用できるものは食 品添加物のナ トリウムメ 来 るだけ少な くす る必要がある。そのためには原料油脂 トキシ ド(ソジウムメチラー ト)と水酸化ナ トリウム をコン トロール して水分0.01%以下,酸 価0.1以下, (カセイ ソーダ)の みである。 POVO.05以下にす る必要があ り,精製油か らス ター ト エステル交換の内容 としては ランダム型 とダイ レク す ることが多い。反応 の進行 は褐色 に変化す ることで判 テ ッ ド型(指 向型)の2つ があるが,指 向型 はあま り実 断で きるが,最終 的なチェ ックには融点,GLC,SFC, 施 されていない。 ラー ドの場合 にはFig.1のように変化 DSC等の物理的方法が必要である。反応 の停止は水 ま す る。以下のFig.22)にそれ らの例 をあげる。なお,油 たは酸で行い,そ の後の処理は通常の精製 に準 じて行わ 脂 にグ リセ リンを加 えてモ ノグ リセ リ ドを製造す るとき れ る。 51 872 オ レオサイエ ンス 第1巻 第8号(2001) 1・2酵素法 す こ とが明 らか であ る。 エステル交換の触媒 としては酵素の リパーゼを使 う方 反応 装 置 に はデ ッ ドエ ン ド式 と循 環 式 に大 別 され る 法である。触媒は両方 向に反応 を進 めることができる が,そ の代 表 的 な例 をFig.56)とFig.67)に示 した。 が,酵