3．先进事例调査报告.PDF

３．先進事例調査報告 ３－１．鳴子温泉郷ツーリズム「鳴子スタイル」（宮城県大崎市） １）概要 （１）地域 ・宮城県大崎市鳴子温泉地区（旧鳴子町: H18年合併）の鳴子・東鳴子・川渡（かわたび）・ 中山平・鬼首（おにこうべ）の５つの温泉郷。総じて鳴子温泉郷と呼称される。中山間地 域の農業地帯、林業地帯でもある。 （２）ツーリズムの概要 ・鳴子温泉郷ツーリズム「鳴子スタイル」は、「温泉地・湯治場」と「農山村」という地域特 性を生かし、地域の生活文化を再認識し、観光客や地域の様々な交流の中でお互いが成長・ 共生できる「旅」のかたちや「暮らし方」の提案、実践のことである。 ・平成16 年、既存の枠にとらわれず、鳴子ならではのツーリズムを研究・実践する団体「鳴 子ツーリズム研究会」を民間主導で設立。そういった住民主導の動きを背景に、同年、構 造改革特区「鳴子温泉郷ツーリズム特区」認定をうけ、農地法規制緩和による遊休農地を 活用した「湯治クラインガルテン」を実施するなど、５つの温泉郷各地で温泉の活用と農 業、林業、漁業、商業、アートといった各方面での交流プログラムを組み合わせた「現代 版湯治」を実施。５つの温泉郷の連携・情報交換により各種の取り組みが進められている。 （３）実施体制 ・鳴子ツーリズム研究会が「鳴子温泉郷ツーリズム『鳴子スタイル』」の情報発信を一元的に 実施している。研究会は農業・観光・商工・行政・地域づくり・マスコミ関係者など 55 名で構成されている。 ・地域内のプログラム運営は、各地域にある活動団体や地域の人々が主体となり実施。企画 内容や運営においてツーリズム研究会で研鑽・連携をとっており、プログラムに応じて宮 城県地域振興課、大崎市鳴子総合支所のメンバーも有機的に関わっている。 ・各種リーフレットの作成・企画、個別事業において観光協会など関係団体との連携を実施 している。 左：大崎市鳴子総合支所発行 「鳴子スタイル」 右：鳴子温泉郷観光協会発行 「素ローカル・なるこ」 - 107 - （４）主な取り組み内容 ①温泉と遊び・学び・交流 ○田んぼ湯治（東鳴子）：1 年間定期的に鳴子を訪れ湯治をしながら無農薬の米づくりを行う。 ○ふるさと体験（鬼首）：農業体験や鬼首神楽見学・参加など、鬼首地域文化体験 ○日曜山村学校（中山平）：４～11 月まで月2 回参加の米づくりを中心に収穫祭や料理コン クールなど農村文化体験 ○湯めぐり手形：湯めぐりチケット６枚を用いて割安で湯めぐりができる手形。 ○下駄も鳴子（鳴子）：下駄手形か指定の下駄履きで鳴子温泉街を散策、手形か下駄を見せ ると協賛店での特典が付く。 ○ほっとフェア（鳴子）：鳴子温泉商店街でっぺ倶楽部の一店逸品運動とイベント ○現代版湯治入門（東鳴子）：各旅館での湯治宿体験 ○温泉療養プラン：旅館での湯治と鳴子温泉病院での各種生活習慣病など症状に合った適切 な温泉療養やリハビリ方法などの指導（現在休止中） ○トライクツーリズム（東鳴子）：トライクという3 輪車で田園地帯をゆったり散策 ○GOTEN GOTEN アート湯治祭（東鳴子）：湯治場でのアーティストインレジデンス事業 ○その他ブルーベリー摘み（鳴子）、キャッチ＆リリース（鬼首）など 下駄も鳴子 「からころマップ」と「下駄手形」 湯めぐりチケット - 108 - ②食や農産物 ○構造改革特区「鳴子温泉郷ツーリズム特区」の規制緩和の活用 １．農地所有者による市民農園の開設 ⇒湯治クラインガルテンのオープン ２．農地取得下限面積の引き下げ⇒新規農家の参入 ３．特定農業者による濁酒