国土交通省成长戦略.PDFVIP

国土交通省成長戦略 平成２２年５月１７日 国土交通省成長戦略会議 総 論 Ⅰ チャンスを活かし、日本の成長を作る。 １．今、まさに成長戦略が必要 ・ これまでも経済戦略、経済対策は幾度となく検討・提言されてきたが、日本の成長に向 けた長期的なビジョンが共有され、実現されてきたとは言い難い。しかしながら、そもそ も、人口減少・少子高齢化社会の中で国民が将来の憂いなく安心した生活を送るためには、 日本経済の成長は必要不可欠であり、攻めの姿勢と強い意志をもった実現性のある成長戦 略を構築しなければならない。 ・ 先進諸国が経済危機からの回復にもたつく中、中国・インドをはじめとするアジア諸国 は高成長を続けている。わが国もこれをまたとないチャンスと捉え、アジアの成長を積極 的に取り込めるような基盤づくりを、政策として行っていく必要がある。このアジアの成 長を取り込もうとしているのはわが国だけではないことは言うまでもなく、すでにいくつ もの国が国家戦略として総力をあげた取り組みを開始している。したがって、わが国も一 刻も早く政官民が一丸となって協力していく体制を構築し、日本の成長につながるような 取り組みを行っていかなければならない。 Ⅱ 成長メカニズムの大胆な転換にむけて １．国土交通省の成長分野 ・ 今までの国土交通省所管産業の多くは、公共投資への依存度が高く、様々な規制に守ら れた内向きな産業構造であった。しかし、限られたパイの分配に依存する従来型メカニズ ムで成長を描くことは困難となっている。今後、我が国産業の健全な成長を図るためには、 ①劇的発展を遂げている最新のICTをとりこみつつ、 ②民間の知恵と資金を最大限に活用し、 ③外に開き、世界の成長を取り込む形で、 生産性の向上を図り、パイを拡大させていかなければならない。そのため、それを実現さ せるための政策を早急に打ち出すことが重要である。その観点から、国際展開・官民連携、 0-1 観光、航空、海洋、住宅・都市の５分野については、特に、さらなる発展が期待できる分 野であるとの認識のもと、旧来のパラダイムを転換し、大胆な政策提案を行っている。 ２．旧来メカニズムとの決別と新しい市場環境の構築 ・ 今後は、以下の点を柱として新しい市場環境を構築することを政策の基本原則とする。 ・ 公共事業費減少の中、「財政に頼らない成長」を大原則とした上で、「国土の均衡ある発 展」に代表されるばらまき行政・再配分政策からの脱却を図り、限られた公共投資を費用 対効果に応じて集中的に配分する。 ・ また、集中投資と併せて、地域や企業の創意工夫による成長を促進するため、成長の足 枷となっている規制緩和に積極的に取り組み、自由度を高め、民間の新しい提案や大胆な 経営を促進させる。 ・ ファンドやＰＰＰに代表されるような「民間の知恵と資金」が積極的に活用される仕組 みを導入し、効果的な公共投資を行う。特に、個人金融資産を活用して、新しい資金の流 れを市場に誘導する方策を講ずる。 ・ 経済活動のグローバル化・国際展開に対応し、また、地域の自由かつ自主的な活動を支 えるため、官民が連携し、積極的な人材育成に取り組む。 Ⅲ 実効力ある戦略とするために １．ＰＤＣＡサイクルと戦略的な工程管理 ・ 戦略が「絵に描いた餅」とならないよう短中長期の工程表を明確に示すなど、政策運営 のＰＤＣＡサイクルが効果的に循環する手法を織り込んでいる。また戦略の実行に当たっ ては、大局的な視点に立って優先度を明確にしている。 ２．強いリーダーシップによる継続的な取り組み～政府一丸の戦略の推進～