地理空間的思考の教育研究プロジェクト.ppt

第4章　空間解析7.　空間的自己相関 井上 亮rinoue@plan.civil.tohoku.ac.jp 2011年1月28日 ここで学ぶこと 空間的自己相関 空間的自己相関とは 空間的自己相関の統計量 Join統計量 Moran’s I 統計量 Geary’s C 統計量 Getis-Ord G 統計量 空間的自己相関のモデル化 　　について学びます． 空間的自己相関とは ある空間情報に「（正の）空間的自己相関がある」とは，「近い点における属性の類似度が大きい」ことを意味する． 空間的自己相関とは 観測点A 30℃ 観測点B 26℃ 観測点C 18℃ 気温に影響を与える要因 近隣では要因が類似→気温に高い類似性 気象条件 土地利用土地被覆 空間的自己相関とは ある空間情報に「（正の）空間的自己相関がある」とは，「近い点における属性の類似度が大きい」ことを意味する．一般に，空間データには，（正の）空間的自己相関が存在することが多い． 地理学第一法則(Tobler(1970)) “Everything is related to everything else, but near things are more related than distant things” 負の空間的自己相関? 「負の空間的自己相関」： 空間的に近いほど属性は負の相関を持つ 弱い負の相関 強い負の相関 点間距離が無限小の3点を考えると 非常に強い負の相関 非常に強い負の相関? 非常に強い負の相関? 非常に強い正の相関? 連続的な空間では正の空間的自己相関のみを考える 離散的な空間「隣り合う面が負の相関を持つ」ことは可能 連続的な空間 矛盾が生じる 空間的自己相関の定量化 相関の強弱 強い 無相関 弱い 空間的自己相関を表す統計量 Join統計量 Moran’s I統計量 Geary’s C統計量 Getis-Ord G統計量 Join統計量 離散的な領域（例えば，格子領域や面データ）に与えられたカテゴリデータ（例えば，二値データ）の空間的自己相関を表す統計量 格子領域に二値データが与えられている場合を考える． 正の相関? 無相関? 負の相関? Join統計量 「格子領域の隣接関係を辺を共有する関係」と定義した場合，黒黒の隣接ペア数 JBB, 白白の隣接ペア数JWW, 黒白の隣接ペア数JBWを数える JBB 10 JWW 10 JBW 4 JBB 3 JWW 4 JBW 17 JBB 0 JWW 0 JBW 24 黒の発生確率を pB ，白の発生確率を pW ，総隣接ペア数をkとするとランダムに発生した(無相関の)場合の隣接ペア数の期待値は E(JBB) =k pB2 E(JWW) =k pW2 E(JBW) =2k pB pW 上図の場合， pB = pW = 0.5, k=24なので， E(JBB)= E(JWW)=3, E(JBW)=18. 中央は「ほぼ無相関」といえる． E(JBB) 3 E(JWW) 3 E(JBW) 18 Join統計量 また，　　　　　　　　　　　　　　　ただしkiは i番目領域の隣接数 とすると，JBB, JWW, JBWの分散　　　　　　　　　の期待値は 上図の場合， pB = pW = 0.5, k=24, m=52なので， 左図が「空間的自己相関を持ったデータ」であると言えるだろう． 領域数が多ければ，統計的検定を行うことが可能． JBB 10 JWW 10 JBW 4 JBB 3 JWW 4 JBW 17 JBB 0 JWW 0 JBW 24 E(JBB) 3 E(JWW) 3 E(JBW) 18 Join統計量 なお，zi: 領域i の二値データの値(黒: 1, 白: 0), wij: 隣接関係（領域 i と領域 j が隣接: 1,　隣接していない: 0） とし，ベクトルz=(z1,…,zn)’, 隣接行列W={wij}を定義とすると と表すことができる． Join統計量 限界 離散的な空間領域に基づく「隣接関係」を通してしか空間的自己相関の有無を判断できない． 点データへの応用ができない 隣接関係の定義に距離を反映させることができない 扱える属性はカテゴリデータのみ 属性が連続量の場合，カテゴリデータに変換しないと適用できない． 離散的な空間領域に基づかず，点データにも適用が可能で， より柔軟に空間的な近さ(隣接関係以外に距離など)を考慮でき， 連続量の属性が扱える統計量が必要! n: 領域(点)の数 z : 属性値ベクトル（z=(z1,…,zn)’, zi : 領域(点)i の属性値） 　: