血管機能改善作用を有する新規機能性食品成分の解明.pdfVIP

28 浦上財 団研究報告書V01.12(2004) 血管機能改善作用 を有する新規機能性食品成分の解明 松 井 利 郎(九州大学大学院農学研究院食品バイオ工学講座) クスの増加,コ ンプライアンスの低下,抵抗の増 1.緒 言 加などを特徴 とする適応変化を起こさせる。 この 末梢の動脈(抵抗血管)の血管緊張が増大する 適応 リモデ リング応答は,壁応力を正常化 し,血 と,血管内径の減少が起こり,血流抵抗が増大す 管反応性の増加 をもたらす。 こうした血管の変化 る。血圧は心拍出量 と末梢血流抵抗の積にほぼ比 自体が,血管収縮を増幅 し,高血圧を継続 させ, 例するため,抵抗血管の収縮制御は,血圧の維持 粥状硬化などの合併症の進展を促進する。 ・調節において重要な役割を担っている。 これまでの研究により,収縮 ・弛緩に関係する 血管は内膜 ・中膜 ・外膜の3層か らな り,その 作動物質が平滑筋の増殖や肥大を起こすことが明 うち中膜に存在する平滑筋細胞(VSMC)は通常, らかになってきた ト3。増殖因子は血管収縮因子 血管作動物質(Angiotensin(Ang)IIなど)の として作用 し,同様に血管収縮因子は平滑筋細胞 刺激に反応 して収縮 ・弛緩する(Fig.1)。高血圧 の増殖や過形成を引き起こす。中でも,様々な組 による血行動態上の変化は,抵抗血管において中 織 に存 在す る レニ ンーア ンジオ テ ンシ ン系 膜の平滑筋細胞の肥大 と過形成,細胞外マ トリッ (RAS)において,特 に血管組織で産生 された Fig.lConstrictivemechanismofvascularsmoothmusclecell(VSMC). 血管機能改善作用を有する新規機能性食品成分の解明 29 AngIIは高血圧の発症 ・維持や血管病変の形成 と Tesque)を使用 した。 また,Ile-Val-Tyr(IVY) 密接に関係することが示 されている61。RASにお はFmoc-Tyr(BUT)-0-polymer,Fmoc-Val, いて血圧上昇の鍵 となる因子であるAngII刺激 Fmoc-lle(以上,国 産化学)を 用 いて固相 合成 し によるVSMCの増殖 ・肥大は,AT,-Rantagonistト,た。 また,ル テ オ リン,カ フェ酸,フ ェル ラ酸, Ca-+channelblockerであるAmlodipine8,イン クマ ル酸 はNacalaiTesque社製 の もの をそ の ま ス リン抵抗性改善薬であるTroglitazone`〕,DHA/ ま使 用 した。試薬 類 は超純 水 を125℃,20分 間オ EPAI°〕,植物sterolであるβ一sitosterolなど, ー トク レープ し,滅 菌水 と した ものに溶解 す るか, 様々な化合物もしくは天然物で制御 されることが もし くは培 地に溶解 して使 用 した。 ピペ ッ ト類 は 報告 されている。 しかしなが ら,その増殖抑制機 180℃,5時間乾 熱滅菌 した もの を使用 した。 構 はアンジオテ ンシンレセプ ター阻害 による 2.2細 胞培 養 RAS抑制の他 は,MAPキナーゼ阻害9〕,Cdk-SmBMに 添 加 因 子 を全 量 加 え,増 殖 培 地 cyclinのリン酸化阻害1°1など細胞内シグナル伝 (SmGM)を 調 製 した。 凍 結 細 胞 を 適 当 量 の 達系への関与が一部に疑われているのみであり, SmGM