低迷する日本の大企業が抱える構造的問題.PDF

経済学部 池尾和人研究会 平成24 年三田祭論文 低迷する日本の大企業が抱える構造的問題 その理解と解決への提言 慶應義塾大学経済学部経済学科3 年 池尾和人研究会19 期 企業戦略パート 齋藤將吾 藤岳麻樹 山口恭平 渡邉悠太 2012 年11 月 目次 はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 序章 第一節 日本に於ける所有支配構造の変遷・・・・・・・・・・・・・・2 第二節 日本企業の構造・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 第一章 日本企業の現状 第一節 日本企業の業績低迷・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 第二節 日本企業のリスク回避指向・・・・・・・・・・・・・・・・・11 第三節 日本企業の置かれているマクロ的現状・・・・・・・・・・・・13 第二章 昨今のビジネス環境において必要なこと 第一節 企業を取り巻く環境 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16 第二節 低迷企業と強い企業の違い ・・・・・・・・・・・・・・・・・17 第三節 日本企業に必要なもの・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22 第四節 日本企業に必要な全社的経営戦略・・・・・・・・・・・・・・22 第三章 経営に関する現状と課題 第一節 企業に必要な物とトップ・マネジメント ・・・・・・・・・・・25 第二節 日本企業のトップ・マネジメントの現状・・・・・・・・・・・26 第三節 トップ・マネジメント改革に向けて・・・・・・・・・・・・・29 第四章 大企業MBO の実現可能性 第一節 MBO 概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34 第二節 国内 MBO について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36 第三節 海外 MBO の現状からの示唆・・・・・・・・・・・・・・・・40 第四節 MBO に関しての考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44 おわりに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45 参考文献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46 はじめに 出る杭は打たれるという諺にある通り、日本では平凡であることが出世の鍵 であり、また戦後の反省からなのか専制的なシステムを否定的に捉える風土が あるように見受けられる。しかしながら、グローバル化が進み一つの企業が世 界的シェアを奪える時代においては、平凡な人々でいかにうまく企業を運営し ていくかという発想の下に出来上がった日本的なシステムでは太刀打ちするこ とが出来無い。 優秀な人材を見逃さず、彼らの才能を最大限発揮できるような環境を整え、 飛び抜けた個人の力を原動力と出来た企業は目覚しい発展を遂げる。創業経営 者によって自由な経営が行えた企業としては松下幸之助氏のパナソニック株式 会社（旧・松下電器）や本田宗一郎氏の本田技研工業株式会社、優秀な人材を 登用し成功した企業としてはカルロス・ゴーン氏が社長兼CEO に就任し再生さ せた日産自動車や故CEO スティーブ・ジョブズ氏が再度トップに立ったApple などが挙げられる。 日本の大企業の業績低迷が叫ばれる今、企業に必要なのは優秀なトップであ り、それを生み出すことと、それを受け入れることが目下の課題である。 この様な問題意識の下、序章で日本企業の辿った歴史的経緯と焦点を当てる 大企業に関する定義と一般論を整理する。 第一章から本論へと入り、第一章で日本企業の不振な現状とその直接的原因 を分析、第二章で現在のビジネス環境に於いて日本企業が成功のために求めら れることを海外の企業との比較により整理、第三章で日本企業の経営に関する 経済学的議論と第二章に於いて整理された要素を絡め、経営の機能不全の解決 へ向けた提言を行い、第四章では提言の中で重要なMBO につ