感染症临床诊疗治疗现状.pdfVIP

1 場合には、ダプソン（日本ではレクチゾールという商品 HIV感染症の臨床～診療・治療の現状 名）という薬の内服、あるいはペンタミジンという薬の月 1～２回の吸入あるいは点滴により予防を行います。 （応用編 また、CD4細胞数が50～75以下での非定型抗酸菌症予 防もおこなわれたりします。この場合にはクラリスロマイ 都立駒込病院感染症科 今村顕史 シン、アジスロマイシン、あるいはリファブジンという薬 剤が使われます。 CD4陽性リンパ球数が低い場合には、サイトメガロウイ ◆はじめに ルス網膜炎を合併していないかを調べるために眼科受 診もしておくとよいでしょう。 本稿では基本編の内容を理解していることを前提として、 実際のHIV診療についてまとめていくこととします。 以下に、ＣＤ４細胞数とウイルス量の確認から、抗HIV薬 診療上のポイントや方針については、著者が日常診療 による多剤併用療法を開始するまでに、筆者が実際に において気をつけていることなどについても含めたもの行っている経過とポイントをまとめます。 となっています。 また、抗HIV薬による治療は急速な進歩を続けており、 治療指針となるガイドラインも短期間で改訂を繰り返し ◆治療開始前のチェックポイント ているのが現状です。したがって本稿におけるガイドラ インや治療薬の内容についてはあくまでも執筆時点の ものと考えてください。 1. ＣＤ４細胞数とウイルス量の確認 a) ウイルス量測定法に誤差が多いということ、さらに障 害認定の申請の可能性を考え、１ヶ月以上あけて２回測 ◆CD4陽性リンパ球数とHIV-RNA量の測定 定することが望ましく、本人にもこのことについて説明し ます。（状況によっては、２回目の測定を待たずに治療 現在のHIV診療において重要とされる２つの検査が、 を開始する場合もあります。） CD4陽性リンパ球数とHIV-RNA量の測定です。 b) その他の必要な検査と既往疾患の確認 これからの治療をすすめるにあたって患者さん自身が 肝機能、腎機能、Ｂ型およびＣ型肝炎の有無、尿路結 これらの検査の意味について十分理解することが必要 石・糖尿病・心疾患などの既往の確認等をします。 です。 3. 本人の生活歴の確認 抗HIV薬の選択において重要なポイントとなります。仕 事や生活のパターンなどによって継続内服が困難な薬 CD4 : 高 HIV-RNA : 低 剤がないか判断します。 CD4 : 低 HIV-RNA : 高