行动化図人権学习研究.pdfVIP

態度化 ・行動化を図る人権学習についての研究 兼 竹 裕 司 要 旨 人権教育を通じて培われるべき資質 ・能力の中で，これまでの人権学習で培われることの 少なかった資質 ・能力に焦点を当てた体験的参加型学習を実践したとき，態度化 ・行動化を 図ることができた。 キーワード： 小学校，体験的参加型学習，態度化 ・行動化，人権学習プログラム，いじめ Ⅰ はじめに 文部科学省は平成20 年４月，「人権教育の指導方法等の在り方について ［第三次とりまとめ］」（以 下，［第三次とりまとめ］という）を公表した。その中で，人権教育の目標を，「一人一人の児童生 徒がその発達段階に応じ，人権の意義 ・内容や重要性について理解し，［自分の大切さとともに他の 人の大切さを認めること］ができるようになり，それが様々な場面や状況下での具体的な態度や行動 （１） に現れるとともに，人権が尊重される社会づくりに向けた行動につながるようにすること」 とし ている。 そして，人権実現のために必要な価値 ・態度及び諸機能を構成要素とする人権感覚を育成するため， ［第三次とりまとめ］では，人権教育の指導方法の基本原理として，児童生徒の 「協力」，「参加」， 「体験」を中核に置くことの意義や，「協力的な学習」，「参加的な学習」，「体験的な学習」のそれぞ れの学習形態について述べている。 特に，「体験的な学習」に関しては，人権感覚の育成の観点から体験的学習の本質に関する理解の 深化が求められている。 徳島県教育委員会から平成 19 年３月に出された人権教育指導者用手引書 『“あわ”人権学習ハンド ブック』（以下，『“あわ”人権学習ハンドブック』という）でも，「特に，学習者が主体となる学習 活動を展開し，学んだことがらを態度化 ・行動化につなげていけるよう，多くの体験的参加型学習を （２） 取り入れています」 と述べられている。 このように，［第三次とりまとめ］，『“あわ”人権学習ハンドブック』ともに，体験的参加型学習 が，態度化 ・行動化を図る人権学習にとって有効であるとしている。 そこで，体験的参加型学習が，態度化 ・行動化を図るために有効に行われているかどうかを含め， これまでの人権学習の良い点と改善すべき点について明らかにし，求められる人権学習の在り方につ いて研究したい。 Ⅱ 研究仮説 人権教育を通じて培われるべき資質 ・能力の中で，これまでの人権学習で培われることの少なかっ た資質 ・能力に焦点を当てた体験的参加型学習を実践したとき，態度化 ・行動化を図ることができる であろう。 - 67 - Ⅲ 研究の実際 体験的参加型学習が，人権学習の態度化 ・行動化に有効であるとされているが，学ぶ側と教える側 に，どのように受け止められているか調査し，その有効性や問題点を明らかにしたい。それをもとに， 求めるべき人権学習プログラムを作成し，実践したい。 １ 体験的参加型学習の受け止められ方 （１）人権学習についてのアンケートから分かったこと ①徳島県内にあるＡ大学の学生を対象にした人権学習についてのアンケート結果より ア 実施時期 ・・・平成20 年７月 イ 実施方法 ・・・質問紙法 ウ 実施対象 ・・・Ａ大学の学生 106 名 （ア）体験的参加型学習の経験はあるか （イ）体験的参加型学習と講義型の学習と どちらが良かったか エ，無 答 ア，よくある