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第十課　日本の運輸 キー·ワード： 交通ネットワーク　景気低迷　環状道路　大都市圏　民営化 日本の交通ネットワークは、戦前から整備が進められていた鉄道、海運を中心にして発達し、高度経済成長期以降、道路、空港整備も急速に進んでいった。交通ネットワークの整備により、輸送量は飛躍的に増えていったが、近年は景気低迷の影響などから、国内輸送では主に貨物輸送において輸送量が伸び悩んでいる。現在、自動車輸送では、都市部の渋滞緩和策として、混雑地域に入る自動車に通行料を課すロードプライシング制の導入が検討されており、また、鉄道輸送では、混雑区間における複々線化が進められている。今後は、交通インフラの整備だけではなく、より効率的な輸送体系の構築が求められている。 ２００４年３月１３日、九州新幹線の新八代（熊本県）―鹿児島中央間１２７キロが開業した。整備新幹線の開業は、２００２年１２月の東北新幹線、盛岡―八戸間の開業以来のことである。九州新幹線は、新型車両「つばめ」が開業区間を最速３４分で結び、これまでの所要時間２時間１０分を大幅に短縮した。つばめは、新八代で在来線と接続し、従来３時間５０分かかっていた博多―鹿児島中央間を最速２時間１０分で結ぶ。新幹線開業により、沿線都市の人口増加や、地域経済の発展が期待されている。 鉄道 鉄道輸送は、かつては旅客輸送の中心であり、貨物輸送においても自動車輸送を上回っていた。しかし、現在では、旅客、貨物輸送とも自動車輸送が最も大きな割合を占めている。特に、貨物輸送においては、鉄道輸送の割合は大幅に減っている。１９６５年度、貨物輸送（トンキロベース）のうち鉄道輸送の占める割合は３０．７％であったが、２００２年度は３．９％と、およそ８分の一になっている。鉄道輸送は、トラック輸送に比べてエネルギ効率の面で優れており、大気汚染など、環境への影響も少ない。現在、排気ガスなどによる大気の汚染は深刻な状況であり、トラック輸送を中心とする自動車輸送を、鉄道輸送などに切り替えるモーダルシフトの必要性が高まっている。 ２００２年度の鉄道貨物輸送量は５６５９万トン、距離を掛け合わせると２２１億３１２８万トンキロとなり、前年度よりもそれぞれ３．５％減、０．３％減となった。また、同年度の旅客輸送量は２１５億６１０７万人、３８２２億３６１５万人キロで、同様に０．７％減、０．８％減となった。現在、長引く不況の影響などから、旅客、貨物輸送とも輸送量が低迷している。 道路 ２００２年４月１日現在、日本の道路実延長は１１７万７２７８キロメートルで、前年よりも５６３１キロメートル増えた。実延長のうち、舖装道は７７．７％を占め、前年の７７．１％を上回った。 １９４６年、日本の道路舗装率は１２％だったが、その後、道路整備は急速に進んだ。１９６３年には高速道路が初めて開通、６９年には東名高速道路が全線開通し、道路網の拡充とともに自動車輸送量は急増していった。１９６９年に５９５キロメートルだった高速自動車国道の実延長は２００２年には１１．６倍に増えている。しかし、道路が延び、舗装率が上がる一方で、大都市部では環状道路整備の遅れが目立っている。環状道路整備の遅れは、大都市部の渋滞の一因となっており、早急な整備が必要である。 自動車 自動車輸送は、旅客輸送（人キロベース）では１９７１年度に鉄道輸送を抜いて以降、また貨物輸送（トンキロベース）では１９８５年度に海運を抜いて以降、日本で最も利用されている交通手段である。２００２年度の国内輸送に占める自動車の割合は、旅客輸送（人キロベース）で６７．０％、貨物輸送（トンキロベース）で５４．７％となっている。 自動車は全国に広がる道路網を利用してドアツウドア輸送を行い、高度経済成長期の国民所得の向上によるモータリゼーションの進展を背景に輸送量を急速に伸ばした。しかし、近年は、都市部への人口集中と物流の拡大から大都市圏の道路は慢性的に渋滞し、巨額の経済的損失が発生している。また、自動車輸送の中心であるトラック輸送による排気ガスは、大気汚染の一因となるなど、自動車輸送にはさまざまな問題点がある。このため、複数荷主の貨物を一台のトラックに積み合わせて輸送する共同集配やモーダルシフトを推進するなどの対策が進められている。 ２００２年度の旅客輸送は６５５億人、距離をかけ合わせると９５５４億人キロで、前年度よりもそれぞれ１４％増、０．１％増となった。一方、貨物輸送は５３億トン、３１２０億トンキロで、同様に４．３％減、０．３％減となった。不況の影響などにより、貨物全体の輸送量は減少したが、宅配便貨物輸送（利用輸送を含む）は引き続き好調で、２００２年度の取扱個数は２７．５億個と、前年度よりも３．７％増加した。 １９７０年代後半から本格的に