砒素の定量分析法の研究(第2報)比色による.pdfVIP

第8號　 砒素の定量分析法 の研究(第2報)比色 に よる砒素の定量法(その1)　 415 砒 素 の 定 量 分 析 法 の 研 究(第2報) 比 色 に よ る砒 素 の 定 量 法(そ の1) 柿 田 入 千 代* モ リブデ ン青に よる砒素の比色定量法に還元劑 として硫酸 ヒドラヂ ンを使用 して良好 な結果 を得,こ の比色法を鐵 鋼及び鐵鑛石 中の砒素 の定量法に用ひ ることを試み,更 に迅速法 にも應用 し満足すべ き結果 を得た. (昭和19年1月27日 受 理) ン青試藥(2)を用ひてゐる.Pの比色定量法 としても同様 I.緒 言 にSnCl2(3)を使用してゐるものが最 も多 く,モリブデン 第1報に於て鐡鋼及び鐵鑛 石 中の砒素のNa2Sに よ 青試藥(4)によるもの又は硫酸 ヒドラヂンを還元劑 として る硫化物 としての分離法 を述べ,砒 素含量無比較的多い 使用 してゐる(5)報告 もあるが詳 しい種々の條件は明 らか 試料につき,分離 した砒素を沃素滴定法により定量する にされてゐない. ことを報告 した.砥素含量の少い時試料 を多量にとり砒 モ リブデ ン青によるAsの定量に於て新 しき還元劑 と 素を硫化物 として分離することは手数 を要するか ら,比 して硫酸 ヒドラヂンの使 用についてプル フリッヒ光度計 較的少量の試料 にて定量を行ふため比色定量法の研究 を を用ひて基礎實験 を行ひ種々の條件 を研究 し,それによ 試みた. り適當な比色の條件 を定めた.また從 來行 はれてゐる 比色によるAsの 定量法 としてモ リブデン青によるも SnCl2を還元職 として使用することについても検討 を行 ひ,比色定量法 として種々の困難 な鮎 を見出 した. のは數 多 く報 告せ られてゐ.AsO4はPO4と 同 様に酸性溶液 中に於 てモ リブデ ン酸 及 び還 元劑 に よ り II.基 礎 實 驗 (MoO2･4MoO3)2H3AsO4の 組成 の 安定 は青 色 の錯化 合物 をつ くる.AsO3は青色 の化合物 をつ くらない. 種々な條件で發色せ しめた後プル フリッヒ光度計 を使 モ リブデ ン酸が還元剤 に よ り還 元 され,MoO2･4MoO3 用 して吸光度Eを 測定 した.即 ち光源は白熱電燈 を用 の組成の同様 な青色 の錯化合物 をつ くるが,こ の ものは ひ,S72の赤色 フィル ター及び20mm液 槽 を徒用 し,液 不安定で加熱 に よ り褪色す る. 槽 の一 方に試藥 を同 じ條件 にてAsを添加せず同様 に處 Asの 定量法 と して報 告 せ られてゐ る ものは還 元劑 と 理 した溶液を入れ,他方 には測定する溶液 を充 し測定を してSnCl2を使 用 して ゐる ものが 多 く(1),又はモ リブデ 行つた.特別にAsが存在 しない場合の黄色の變化 を測 *　東 北 帝 國 大 學 金 屬 材 料 研 究 所 (2)Ch.Zinzadze,Ind.Eng.Chem.,anahEd.,7(1935), (1)A.Polyvakov,N. Kolokolov,Biochem.Z.,213 230. (1929),375