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CS 1-038 セメント系材料の溶解現象と溶解試験 （財）電力中央研究所 正会員 ○田中良仁 同 上 正会員 廣永道彦 鹿島建設（株） 正会員 渡邉賢三 東京電力（株） 正会員 小野文彦 １．はじめに 放射性廃棄物処分においては、処分場の建設や人工バリア構成部材の一つとして、セメン ト系材料が用いられる。しかし、セメントの主成分であるカルシウムが地下水中に溶出することにより、透 水係数や強度といった物性値が低下するなどの劣化現象が起きることが懸念されている。処分場に用いられ る材料の長期的な評価は、対象期間が極めて長いため、解析的手法による外挿に頼らざるを得ないとされる。 したがって、信頼性の高い解析手法の確立が求められるため、試験などを通して現象を詳細に観察し、劣化 現象のメカニズムを把握しておく必要がある。本検討では、実構造物の固相分析結果から溶解現象のメカニ ズムを推定し、溶解現象を模擬するとされている各種溶解試験について、実現象の再現性について検討した。 ２．溶解現象 約 100 年前に建設された給水所のレン 16 1) ） 14 ガ目地モルタルについての調査 では、EDX による固相 L / l 12 o 分析が行われている。このモルタルが置かれていた環境 m （ 10 条件は、常に表面が上水中に曝されており、その流速は 度 8 濃 a 6 気中 2m/sec であったとされている。図１に示す固相分析の結 C 相 4 水中 果からは、上水接触表面から約 10cm 程度までCa の溶出 固 2 給水所目地モルタル 劣化傾向が確認された。この結果から、セメントの溶解 0 は表面から徐々に進行すると考えられる。 0 100 200 300 400 500 ３．溶解試験 セメント系材料の溶解現象は極めてゆ 深さ（mm） っくり進行し、また、評価する時間は数万年から数十万 図１実構造物のEDX による固相分析結果 年と非常に長い期間であるため、溶解現象の進行や劣化性状を評価するには、促進試験が必要となる。実現 象の再現性をできるだけ保ちながら、溶解現象を把握し、その上で促進試験の技術を確立し、定量化する必 要がある。既往のセメントの溶解に対する検討では、溶解法もしくは浸漬法などの一手法のみの試験で固相 分析はほとんど行われていない。各種の溶解試験は、実現象の再現性という観点からは一長一短があり、単 独の試験では溶解現象を評価することは不可能である。本検討では、溶解法、浸