消費税を巡る議論 - 国立国会図書館―National Diet Library.PDFVIP

ＩＳＳＵＥ ＢＲＩＥＦ 消費税を巡る議論 国立国会図書館 ISSUE BRIEF NUMBER 609(2008. 2.28.) はじめに ４ 経済への影響 Ⅰ 消費税の導入と制度の見直し Ⅲ 消費税を巡る課題 １ 消費税の導入 １ 逆進性への対策 ２ 平成3 年の見直し ２ 「益税」対策 ３ 平成9 年の税率引き上げ ３ 「目的税」化 議論 ４ 平成15 年の見直し ４ 税率改定を巡る Ⅱ 消費税への期待と懸念 おわりに １ 消費税導入の意義 ２ 消費税への期待 ３ 逆進性 平成元年の導入以降、20 年近い歳月を経て、消費税は国の基幹税として定着 している。平成 19 年の参議院選挙の結果を受けて、「消費税を含めた税制の抜 本的改革」は仕切り直しの状況にあるものの、財政の再建、社会保障制度の維持、 地方分権のための安定財源などの観点から、消費税への期待は大きい。 消費税を議論するためには、国民負担と政府の役割についての国民的な合意が 欠かせない。税金の無駄遣いを徹底的に見直した上でも負担増が必要となる場合 には、消費税だけではなく、所得税や法人税を含めて、公平と活力の両面から望 ましい税制を構築することが求められる。同時に、消費税の諸課題（逆進性と益税 への対応や「目的税」化の是非）についての議論が必要となる。本稿は、消費税制度 の導入と法改正の推移、消費税への期待と懸念が集まる背景、消費税の制度的な 課題などをまとめ、消費税を議論するための論点を整理する。 財政金融課 こいけ たく じ (小池 拓 自) 調査と情報 第 ６０９号 調査と情報－ISSUE BRIEF－ No.609 はじめに 平成元年の導入以降、20 年近い歳月を経て、消費税は国の基幹税として定着している。 国の消費税収は、所得税（16.5 兆円） ・法人税（16.4 兆円）に次いで、10.6 兆円に及び、地方 消費税（2.6 兆円）を合わせた総額は、13.3 兆円となっている（平成 19 年度当初予算）。 バブル崩壊後に急激に悪化した財政の再建、高齢化社会を支える社会保障制度の維持、 地方分権を実現するための安定財源の確保、所得課税から消費課税へ移行する国際的な潮 流などの観点から、消費税への期待は大きい。参議院選挙が与野党逆転の結果となったた め、平成 19 年度が目途とされた「消費税を含めた税制の抜本的改革」は、仕切り直しの 状況にあるものの1、消費税の議論は、日本の税財政の最大の焦点である。 本稿は、消費税制度の導入と法改正の推移、消費税への期待と懸念が集まる背景、消費 税の制度的な課題などをまとめ、消費税を議論するための論点を整理する2。 Ⅰ 消費税の導入と制度の見直し １ 消費税の導入 大平内閣（昭和 53 年-昭和 55 年）の「一般消費税」構想や、中曽根内閣（昭和 57 年-昭和 62 年）の「売上税」構想の挫折を経て、竹下内閣（昭和 62 年-平成元年）は、消費税の導入を政 権最大の課題とした。昭和