急性期呼吸管理 - （株）エムイータイムス.PDFVIP

呼吸療法インフォメーション Contents・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ No.7 　急性期呼吸管理 　２相性気道内陽圧（BIPAP）活用のための基礎 　それでも気管吸引しますか？ 急性期人工呼吸管理において重要なのは、酸素化の改善・維持と肺傷害を起こさせないことである。 肺傷害を起こさせない、つまり肺を保護する人工呼吸戦略が必要となる。 今号では、そうした肺保護戦略の様子や近年使用が拡大している換気モードについてご紹介いただくと ともに、重症患者の気管吸引についてもご執筆いただいた。今後の取り組みの参考になれば幸いである。 急性期呼吸管理 Lung protective strategy を中心に 日本医科大学　麻酔科学講座・集中治療室　准教授　竹田晋浩 日本医科大学付属病院　集中治療室　中里桂子 竹田晋浩先生 中里桂子先生 Ventilator-associated lung injury （VALI）とは Lung protective strategy （肺保護戦略） 　2000年、Ranieriらは、Acute respiratory distress  　医原性肺損傷であるVALIを避けるために、人工呼吸 syndrome（ARDS）の患者において、伝統的な1回換気 管理の概念は、過膨張を防ぎ、虚脱と再開放を防ぐ、Lung  量群では、低容量換気群と比較し、特に入院後72 - 96 protective strategyに重点が置かれるようになった。 時間で腎機能障害、多臓器不全が有意に増加したと報 1） 告した 。ARDSの死亡原因の80 - 90％が多臓器不全で Low tidal volume ventilation 2,3） あること を考慮すると、ARDSの生命予後が、人工 　2000年、ARDS networkが、肺を保護する目的で、従 呼吸戦略により左右されると言うことができる。 来より少ない1回換気量を用いた6mL/kg群、伝統的 　人工呼吸そのものによる肺損傷であるVentilator- な1回換気量である12mL/kg群で比較し、退院時死亡率 associated lung injury（VALI）は健常肺にも生じる。 が6mL/kg群で31%、12mL/kg群で40%と、6mL/kg群 VALIの原因を表 1 に示した。 で有意に低下し、人工呼吸日数も約2日短縮できたと報 5） 5 - 9） 告した 。同時期に同様の研究は5つ報告されている 。 表 1 Ventilator-associated lung injury （VALI）の原因4） このうち、低容量換気の有効性を示しているのは、ARDS  1. Volutrauma 5,6） networkの論文を含め2つである 。他の3つの論文で   過膨張による損傷 7 - 9） 2. Atelectotrau