肠管出血性大肠菌O157.PDFVIP

腸管出血性大腸菌O157 腸管出血性大腸菌O157 とは 大腸菌は健康なヒトや家畜の腸内に存在しています。これらは腸管内で消化 吸収,ビタミン合成に役立っており、無害な腸内常在菌の一種です。 しかし、一部の大腸菌は毒素を産生したり、腸管の細胞に侵入したりする ことで、下痢や血便などの消化器症状を引き起こす有害なものも存在します。 腸管出血性大腸菌もその一種で、ヒトに感染するとベロ毒素を産生し、血便と 腹痛を伴う腸炎を起こします。 常在する大腸菌 腸管出血性大腸菌 有害 ベロ毒素 腸 腸 大腸菌は菌の表面にあるO 抗原により細かく分類されており、O157 は157 番 目にO 抗原が発見されたという意味です。O157 は1982 年にアメリカでハンバ ーガーが原因とされる食中毒から初めて検出されました。 症状 多くの場合は、菌を経口摂取してから、３～８日後に症状が見られます。 無症状や軽い下痢で終わる場合から、激しい腹痛や血便となる場合、時には 重篤な合併症を引き起こし死にいたる場合もあり、症状はヒトによって差が 見られます。健康な成人では重症化することは少ないですが、小児や高齢者 などの抵抗力の弱い方には注意が必要です。 感染源 腸管出血性大腸菌O157 に汚染された食品を摂取することで感染します。腸管 出血性大腸菌は牛などの家畜が保有していることがあるため、その糞便で汚染 された水や野菜、生肉などが感染源として考えられます。 感染経路例 予防 ・腸管出血性大腸菌は７５℃１分間以上の加熱で死滅します。 生肉は十分に加熱してから食べましょう。 ・また、まな板や包丁などの調理器具は洗剤でしっかり洗い、 熱湯や次亜塩素酸ナトリウム （漂白剤）で消毒し、生食用の 食品と肉に用いるまな板は使い分けるようにしましょう。 ・汚染された手を介した、ヒトからヒトへの二次感染を防止する ためにも手洗いはしっかり行いましょう。 特に調理中はこまめに洗いましょう！ 感染症法上の扱い 腸管出血性大腸菌感染症は 「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に 関する法律」（以下、感染症法）で三類感染症に分類されており、当該患者さん を診察した医師は最寄りの保健所に届け出ることが定められています。保健所 は患者さんの病状や発症前の一週間程の食事などを確認し、感染原因の究明を 行うほか、二次感染予防について患者さん及びご家族にアドバイスをします。 なお、患者さんは感染症法の規定により、仕事で食品を取り扱うことが禁止 されます。また、患者さんが学生の場合は、学校保健安全法により学校医その 他の医師の指示に従わなければならず、感染のおそれがないと認めるまで出席 停止の扱いとなります。 茨城県衛生研究所細菌部では、感染症法に基づき腸管出血性大腸菌の分離同定、 毒素の検査、患者の陰性確認検査、菌株の収集と分子疫学解析などの各種検査 を行っています。 腸管出血性大腸菌感染症は、ちょっとしたことで十分予防できる感染症です。 食品（特にお肉）の加熱や手洗いはしっかり行いましょう！