颈部痛，背部痛，腰痛.PDFVIP

特集特集 冷や汗だらけの画像診断 Part 2冷や汗だらけの画像診断 Part 2 1. 脊椎症 症例 1　62 歳の男性 10 右上肢のしびれが持続するため来院した（ 図1 ）． 症例 2　76 歳の女性 頸部痛，両下肢痛，とくに母趾痛を認めるため，MRI検査が施行さ れた（ 図2 ）． 背部痛，腰痛 　脊椎症は椎間板の線維輪断裂による椎間板椎体接合部の不 安定により，椎体辺縁に牽引性骨棘，椎間関節に骨棘を伴う 変形性関節症，黄色靭帯をはじめとする椎体周囲の靭帯に肥 をみたら 厚をきたし，その結果，脊髄や神経根が圧迫を受けて神経症 状をきたす疾患である．厳密には椎間板の髄核変性による椎 間板高減少と，椎体終板下骨に反応性変化をきたす椎間板骨 福田国彦 軟骨症（intervertebral osteochondrosis），そして狭義の変 東京慈恵会医科大学 放射線医学講座 教授 形性脊椎症（spondylosis deformans）は区別されるが，通 常両者は混在して存在し，脊椎症として扱われる． 　頸椎では，椎間孔狭窄をきたし神経根が圧迫を受けると圧 頸部痛，背部痛，腰痛をきたす疾 迫性神経根症（ 図1 ）を生じ，脊柱管狭窄をきたし頸髄が Point ❶ 患の画像所見を理解する． 圧迫を受けると圧迫性頸髄症を生じる． 　腰椎では慢性腰痛が特徴であるが，しばしば椎間板腔の非 脊髄症と神経根症の違いを理解 対称性狭小化により側弯をきたし神経根症状（ 図2 ）を呈 Point ❷ し，画像上で所見と合致するかを する．また，腰部脊椎症は腰部脊柱管狭窄の最も頻度の高い 述べることができる． 原因疾患のひとつである． 脊椎椎間板炎と破壊性脊椎椎間板 Point ❸ 症との画像の鑑別点を述べること 2. 脊柱靭帯骨化症 ができる． 症例 3　51 歳の男性 両側上肢のしびれと頸部痛を訴えて来院した．単純X線写真で 分離すべりと変性すべりの違いを述 Point ❹ べ，その画像上の違いを説明できる． 後縦靱帯骨化を認め，精査のためCT検査が施行された（ 図3 ）． 高齢者の脊椎圧迫骨折において脆 症例 4　40 歳の男性 Point ❺ 弱性骨折と病的骨折の MRI 所見 頸部痛を訴えて来院した．原因精査のために頸椎MRI検査 の違いを説明できる． が施行された（ 図4 ）． 88　レジデント 2009/ 11