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第十六章消食薬 * * 【定義】 消食化積を主な効能とする薬物を消食薬という。 【効能】 消食薬は飲食の積滞を消化するほか、多くの薬物は開胃和中の作用も持ち、一部の薬物はさらに運脾の効能も持つ。現代研究により、消食薬の多くが胃腸の蠕動を促進し、消化液の分泌を増加して消化を助けるということが証明されている。 【適応症】 食積不化による脘腹脹満、噯気呑酸、悪心嘔吐、大便失常、および脾胃虚弱、消化不良、小児疳積、痞塊などの証に適用される。 1、山楂　さんざ　Hawthorn Fruit 【性味】酸、甘、微温。 【帰経】脾、胃、肝。 【効能】 1.消食化積。 2.活血散瘀。 3.止瀉。 4.強心、抗心拍異常、冠状動脈血流量増加。 5.末梢血管拡張、血圧低下。 6.血脂低下、血清コレステロール低下。 7.抑菌 8.子宮収縮。 【応用】 1.食滞不化：消化不良、食事が美味しく感じない、脘腹脹満、腹痛泄瀉。 2.女性の瘀血証：血瘀痛経、出産後の瘀滞疼痛、悪露不尽、および閉経。 3.疝気偏墜脹痛。 4.急性細菌性下痢、腸炎。 5.麻疹透発不暢：気血鬱滞証に属する者か、食積を伴っている者。 6.高血圧、高脂血症、冠性心疾患、狭心症。 【用量】9～15g、多量では30gまで使用できる。 【禁忌】脾虚不運の者に多用してはならない。 【配伍】 1.麦芽を加える：消化不良。 2.枳実を加える：食積腹脹。 3.益母草を加える：出産後の腹痛、月経痛。 4.茘枝核を加える：疝気偏墜脹痛。 5.丹参を加える：高血圧、冠性心疾患、高脂血症。 6.鶏内金?神曲を加える：食積泄瀉。 7.木香?枳殻を加える：急性細菌性下痢。 8.蒲黄?茜草を加える：肝臓や脾臓の肥大。 9.黄連?金銀花を加える：血痢。 10.夏枯草?菊花を加える：高血圧、眩暈。 【処方】 1.大山楂丸。 2.保和丸。 3.独聖散。 山楂は胃酸および胃液中の消化酵素の分泌を促進させて消化作用を助けることができ、肉類の食積を消除する要薬であるため、朱震亨は「山楂は飲食を大いに化す」と述べている。また張錫純は「山楂に佐薬として甘薬を配伍すると、瘀血を化しながらも新血を傷ることはなく、鬱気を開きながらも正気を傷ることはない」と指摘しているため、近年の臨床ではその活血作用がよく利用されており、活血行気の薬物と配伍して瘀血結滞証に使用されている。山楂は瀉痢、心血管疾患、婦人科疾患に使用されるが、いずれも本品の消食化瘀作用と密接に関係している。 『本草経疏』では山楂の効能を「飲食を化し、脾胃を健やかにし、結気を行らせ、瘀血を消すため、小児や妊婦は山楂を大いに利用したほうがよい」と総括している。 2、神曲　しんきょく　Medicated Leaven 【性味】甘、辛、温。 【帰経】脾、胃。 【効能】 1.消食和胃。 2.健脾調中。 【応用】 1.食積不化：脘腹脹満、飲食不思、および腸鳴泄瀉など。 2.鉱物薬の補助として使用すると、吸収しやすくさせる。 【用量】6～15g。 【禁忌】 胃酸過多の者には適さない。 【配伍】 1.鶏内金を加える：食滞内停による食欲不振。 2.茯苓を加える：湿滞中阻による嘔悪便溏。 3.蒼朮を加える：食積内停?脾陽不運による水瀉。 4.橘皮を加える：飲食積滞による咳逆嘔悪、胸悶脘脹。 5.檳榔を加える：小児の疳積、脘腹脹満。 6.山楂を加える：肉食積滞。 7.藿香?蘇葉を加える：感冒による食滞。 【処方】 1.保和丸。 2.大安丸。 3.人参健脾丸。 4.磁朱丸。 【説明】 神曲は多量の小麦粉やふすまに杏仁泥、赤小豆粉、および鮮青蒿、鮮蒼耳、鮮辣蓼の汁を混合し、撹拌して発酵させたものであり、健胃?消化促進の作用を持つ。神曲の効能は専ら穀麦酒積の消化であり、食積による脘腹脹満の甚だしい者には、莱菔子や枳実など行気作用を持つ薬物を配伍し、脾胃虚弱による食欲不振や消化不良の者には、健脾益気の品を配伍するとよい。 建神曲は范志曲とも呼ばれ、神曲を基礎として発散風寒薬および行気薬を加味したものであり、食積不化で外感風寒を兼ねている者によく使用される。 3、麦芽　ばくが　Malt 【性味】甘、平。 【帰経】脾、胃、肝。 【効能】 1.消食健胃。 2.舒肝回乳。 3.血糖低下。 4.抑菌。 【応用】 1.食積不化：消化不良、飲食不思、脘悶腹脹、および小児の乳積不化による吐乳。 2.肝気不舒証：胸脇脹悶、噯気など。 3.乳汁の分泌を停止させる作用がある。乳汁鬱積による乳房の脹痛、および乳汁漏出症。 4.浅部真菌感染。 【用量】 9～15g。多量では30～120gまで使用できる。舒肝回乳には生麦芽を大量に使用する。 【禁忌】哺乳期の使用には適さない。 【配