反的思考-教育出版.pdf

「反省的思考」をうながすノート指導 浜松市立北小学校 松島 充 １ 本稿の目的 ３ 「反省的思考」とノート指導 算数科の指導では，おはじきを操作したり， 算数科の授業は，一般的に問題解決学習の ゲーム的な活動をしたり，既習の内容を基に 型で行われることが多い。それは「問題設定 考えたりする操作的活動がよく行われる。こ ⇒問題解決への見通し⇒自力解決⇒学級全体 のときに，操作的活動を振り返って考える反 での練り上げ⇒振り返り」というサイクルで 省的思考を行うことが重要である。どのよう あろう。このサイクルのどこで，「反省的思考」 な数学的な考え方を基にして導かれた学習内 は生起するのであろうか。筆者は，以下の３ 容だったのかを明らかにしたり，どのような 点であると考えている。 既習内容とつながりをもつのかを明らかにし ① 自力解決 たりすることで，直観的な理解から論理的な ② 学級全体での練り上げ 理解へと，子どもの思考を高めていくのであ ③ 振り返り る。ここに，子どもに反省的思考をうながす 特に①，③において，ノート機能が「反省 ことの意義がある。算数のノートには様々な 的思考」をうながすことができると筆者は考 機能があるが，本稿では，学習を振り返るた えている。以下の章では，この①と③の段階 めの機能に着目し，子どもの反省的思考を育 における「反省的思考」とノート指導との関 成するノート指導の具体的な手だてを６点提 連を述べる。特に③の振り返り段階における 案することを目的とする。 ノート指導は，学習感想やメタ認知と大きく なお，本稿前半は理論的考察を，本稿後半 関わっているので，多少詳しく述べる。 は具体的手だてを述べる。 ４ 自力解決における「反省的思考」 ２ 反省的思考とは とノート指導 中原（1995）は，「（反省的思考とは）操作 自力解決の前に，問題解決への見通しを学 的活動を反省して，その本質を抽象し，一般 級全体で協議することが多い。見通しの段階 化する思考をいうのである。それ故に，その の目的は，解決方法を直観的に理解させるこ 反省的思考を『操作的な反省的思考』という とであり，直観的に理解した方法が基になっ ことにする」と述べている。本稿では，この て，自力解決段階での「反省的思考」が始ま 中原の「操作的な反省的思考」（以下，「反省 る。筆者は，見通しの段階でノートを活用す 的思考」と表記）を重要視している。本稿で ることが，「反省的思考」を促進するうえで重 の「操作的」には，具体物の操作はもちろん 要であると考えている。 のこと，念頭操作，記号的操作なども含んで 本時の問題の解決に有用な方法を直観的に 考察していく。 理解するとは，似た構造をもつ既習の問題を 想起することにほかならない。それは，個人 の学習内容についての記述がなく，抽象 的な生活経験であったり，前時までの