情报システムの障害状况2018年後半データ PA.PDFVIP

＜情報システムの障害データ＞ 情報システムの障害状況 2018 年後半データ IPA 社会基盤センター 連携委員 松田 晃一 IPA 社会基盤センター 目黒達生 2018 年7 月から12 月の間に報道された情報システムの障害は31 件であり、相変わらず障害の発生は 高い水準にある。 今期には東京証券取引所の売買システムのトラブルやソフトバンクの通信障害など大規模で国民生活に 直接大きな影響を与えた障害が発生した。その他、鉄道の運行管理システムの障害が4 件、航空関係のシス テム3 件と運輸サービス関係のシステム障害が計7 件発生している。金融・決済に関するシステムについて は、障害が10 件と相変わらず多数発生した。 １．2018 年後半の概況 2018 年の後半に報道された障害31 件の概要は表１に示す通りである。今期の発生件数は月平均5.2 件となり、 2018 年通年でみると月平均5.5 件と、かなり高い水準である（図1）。 　月平均件数 6 5 4 3 2 1 0 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 発生件数 37 54 17 20 28 33 32 35 43 41 48 66 図1 情報システムの障害発生件数の推移 1 Copyright © 2019 Information-technology Promotion Agency, Japan （IPA） 国民生活に直接大きな影響を与えた障害が、東京証券取引所の売買システムやソフトバンクの通信システムで発 生した。また、金融・決済システム関連では、東京証券取引所の障害を含めて10 件（事例1840、1842、1845、 1851、1856、1858、1859、1962、1863、1864）、運輸サービス関係のシステム障害が7 件（事例1836、1843、 1850、1852、1855、1857、1860）、情報通信分野ではソフトバンクの障害を含め3 件（事例1838、1849、 1861）、医療関係においても3 件の障害（事例1841、1854、1866）がそれぞれ報告されている。なかでも、鉄道運 行管理システムの障害が4 件（事例1843、1855、1857、1860）と集中しており、航空関係のシステムの障害3 件 （事例1836、1850、1852）と合わせて運輸サービス関係で7 件の障害報告となっている。 また、医療関係の事例1854 はランサムウェアによって電子カルテシステムの診療データの一部が暗号化され利 用できなくなった障害である。システムには定期的にデータバックアップを行う仕組みがあったにもかかわらず、オペ レーションのミスにより磁気テープが装置にマウントされていなかった。そのためバックアップデータがなく、データの 復元ができなかった。本連載記事ではセキュリティ関係の障害は対象外としているが、このような運用ミスによって被 害の拡大を招いた事例であるため、今後類似の事象が発生しないよう注意喚起のために取り上げた。 なお、別表1 は障害の影響範囲が広域にわたるものではなく、特定の自治体に閉じたものではあるが、その地域に とっては影響が大きかった事例を取りまとめたものである。別表の番号は前期からの通番となっている。また、この別 表の件数は、図１の障害発生件数には含めていない。 ２．大規模通信障害 12 月6 日13 時39 分頃に発生したソフトバンクの通信障害（事例1861）は、全国で通話やデータ通信などの サービスがほとんど利用できなくなり、国民生活に