第二章　稲作文化の特质.pptVIP

食ーー 食から見れば、日本人が米と野菜を主食とし、竹のような植物で作った食器道具を使い、肉食をほとんどしないが、欧州は家畜の肉や、乳製品を主食とする。食器道具も鉄のような金属で作って、ナイフやフォークなど冷たいものであった。 「我等の日常が如何に植物及び自然界に趣味を有するかを、植物の方面に見れば、春秋の彼岸の牡丹餅、御萩の名を第一として、菓子屋の目録を一見して一層その多いことが分かる。松風、紅梅焼、磯松などの一般名称はいふまでもなく、椿餅、撫子餅などの類がある。名称ばかりではない。形も花木に取るのが多い。料理の膳椀は絵で花木の形を装飾とする。漆器、陶器一切の美術工芸品が草木花鳥の絵であることはもとよりいふまでもない。」 米と日本人の食生活 米は古来より日本の主食として食生活に欠かせないものである。米は現代では全国各地で栽培されるが、東北地方が主な生産地である。 赤飯 赤飯（せきはん）七五三や結婚式など の祝い事に欠かせない料理に「赤飯」 がある。縁起のよい赤い色のご飯で、 もち米と小豆を使って作った。 丼もの 丼ものとは、「丼」と呼ばれる大き目の茶碗に炊き立てのご飯を盛り、その上にてんぷらやうなぎ、とんかつなどのおかずを乗せてたれをかけた料理のことである。 寿司 日本人が大好きな食べ物の一つが「寿司」である。主に魚介類に酢飯と一緒に食べる料理であるが、近年は、海外でも多くの寿司屋を見かけるようになった。寿司には、「押し寿司」、「ちらし寿司」、「にぎり寿司」、「巻き寿司」などがある。 巻き寿司 握り寿司 ちらし寿司 住ーー 住は、日本人が木造の茅葺きの家に住むが、欧州は、石作りが多い。「日本の庭園を眺めながら、日本の座敷に座って、この日本料理を始めて食ふ西洋人は日本の家屋内の生活が、如何にも花木の風景に富んだ外景よく調和するのを感ずるであらう。料理屋の名は紅葉館である。室に通れば床の間には花鳥の極彩色か、又は墨絵の山水がある。床の間の生け花は何流か知らぬが、格好よく手際よく活けてある。欄間の彫刻も唐草や、竹や、梅の模様で、給仕人の女中は華やかな裾模様の着物を着て周旋する。その名を聞けばお花、お松、お梅、お菊、お蝶である。」 欄　間 日本の家屋 伝統的な日本家屋といえば、一戸建ての木造住居であり、部屋の仕切りには紙と木でできた「ふすま」が使われ、「畳」の敷き詰められた「日本間」と床張りの廊下などで構成されている。また、アメリカやヨーロッパの国々とは違って、家の中と外ははっきりと区別されているのが特徴である。靴を履いたまま室内に入ることは決してない。 日本人の持ち家志向を言えば、戦前の日本では借家住まいが一般的であったが、戦後になって「いつか庭付き一戸建ての我が家を持ちたい」と願う市民が増えてきた。高度経済成長下での地価の高騰が拍車をかけ、庶民の持ち家志向は家庭生活の中心的な目標となってきた。具体的には二階の一戸建て、瓦屋根、高い石塀の生垣に囲まれた小さい庭に、自家用車のガレージのある家が理想とされている。しかし、近年、土地の価格では世界のトップとなった東京で、新しく持ち家を持つことは夢のまた夢となってしまったようだ。 日本の床の間 昔ながらの日本家屋には必ず「床の間」のある和室がある。部屋の一角に設けられた半畳あるいは一畳ほどのスペースで、床が一段高くなっているのが特徴である。 正面の壁には「掛け軸」と呼ばれる山水か、花鳥書画を鑑賞用として飾り、また床張りの床には生け花や置物を飾るのが一般的である。 こたつ こたつは日本家屋にあった暖房器具である。木製のテーブルを布団で被い、中に火のついた炭が入った壷が入っている。畳に座ってこたつの中に下半身を入れ、暖を取るのである。現代では、炭の代わりに電気ヒーターを入れるものが多くなったが、家族団欒の場所であることに変わりはない。 風呂 日本式の風呂の入り方は、洋式のものとはずいぶん違う。日本人は浴槽のお湯は取り替えないので、きれいに使う必要がある。寝る前に熱いお湯が入った深い浴槽に肩まで浸かり、一日の疲れを癒す。 （２）衣、食、住だけではなく、日本人の親植物性がまた日本文学に影響を及ぼしている。 日本は、俳句、和歌のような独特で極短い文学形式で風花雪月を詠み、大自然を賛美するが、欧州では政治や人間の内面世界に関わる作品が人々に愛読されている。日本文学において「人事と自然と比較して人生より直ちに自然を思ひ、自然より直ちに人生を思念するのである。和歌から導かれて国文学全体を通じて、軍記、謡曲、浄瑠璃等一般のものの根底をなしている。秋風といえば寂しいことを連想し、春雨といえば静かな感じがある。」 （３）親植物性は日本人が子供を育てることにも影響を及ぼした 親植物性の日本人が子供を育てる時も植物