第2学年社会科学习指导案.doc

１　単元名「景気変動からみる日本経済」（総時数５時間） ２　単元構成 ⑴　単元設定の意図 本単元は，現在の景気を考える活動を通して，景気変動という現象をとらえる視点を獲得させるとともに，我が国の経済の現状をマクロ的に概観する力を身に付けさせることをねらいとしている。また，本単元は経済の学習の導入として位置付けている。経済の話題の中でも常に高い関心がもたれている景気変動を取り上げ，その特色を考える活動を通して，これから始まる経済学習に対する関心を高めていきたい。 現在の我が国の景気拡大期はすでに５年目を迎えている。今回の景気回復はバブル崩壊後の失われた10年間に企業が「設備?雇用?債務」の三つの過剰を解消するリストラによって始まった。これまでの好景気は「いざなぎ景気」にみられた電化製品の普及や「バブル景気」における所得の増加など好景気を実感できるものであった。しかし今回の好景気は，派遣社員やパートなど非正社員の採用による雇用形態の変化や，賃上げの抑制による消費の低迷など実感の乏しい景気回復とも言われこれまで経験してきた好景気とは異質な性格をもっている。また，公共事業に依存しなかった点や地域間の経済格差，所得格差，企業間格差など多くの課題を生み出した。 本単元は，今回の好景気に名前を付けるという活動を設定することによって，進行する経済活動に対する情報を収集させるとともに，これから始まる経済学習に対して疑問や問題意識をもたせたいと考えた。また，この単元の中で取り上げることになるリストラは，価格の成り立ちや企業の仕組みを理解することができる非常に有効な題材である。 生徒の中には景気が回復しているという実感をもてないでいる者が多い。これを誤った認識というべきか，的確な状況把握というべきかは意見が分かれるところであろう。今回の景気を牽引している製造業が立地している地域では回復傾向にあるが，子どもたちが生活している山口市はサービス業の比率が高い「消費の街」であるため，景気は足踏み状態である。そこで本単元では地域調査の時間を設定した。身近な地域を調査することで，生徒の地域経済に対する認識を深めさせるとともに，調査によって知り得た情報と他の地域の景気動向を比較することで，我が国全体の景気をとらえさせることが可能になる。また，地域の景気の状況を知るためには，地域の経営者や商工会議所の職員などと密接な関係を築く必要があり，その関係づくりの過程を通して，自分たちが住む地域に対する理解と愛情を深めさせていきたい。 本単元では「現在の景気回復に名前をつける」という活動に取り組ませる。生徒がつけるであろう名前として「格差景気」「小泉景気」「リストラ景気」などがあり，「格差景気」は実態，「小泉景気」は牽引者，「リストラ景気」は手段に注目し表現したものである。しかし，これは生徒が今回の景気のそれぞれの一側面にしか注目していないことを示したものである。そこで一人の生徒にいくつもの名前を考えさせ，その中から最も適切な名前を選択する過程を仕組むことにより，事象を多面的にとらえる視点が獲得されるとともに，事象に対する認識が深まっていく。また，事象に対する名前やその根拠を発表し，検討していくことによって，これまでの個別学習では得ることができなかった新たな視点を獲得させることができる。さらに，景気回復の本質をとらえるには，様々な要因を比較検討していく必要性があることに気付かせたい。 ⑵　単元構成表 次 学習内容?活動 主眼 確かな知識を獲得させるために １ 戦後最長の景気拡大期 （課題設定） ?現在の景気回復の長さに着目することを通して，「景気回復に名前をつけよう」という課題に対する関心を高めることができる。 ?既有の知識に基づいて現在の景気回復の現状を説明する場面を設定する。 ?経済の学習に対する関心を高めるために，景気回復に名前をつける活動を設定する。 ２ 日本全体の景気動向 （調査活動） ?日本全体の景気に関する資料を収集し，吟味する活動を通して，日本全体の景気の現状をとらえることができる。 ?新聞，書籍，インターネットなどを通して，考察する価値のある情報を素材として収集させる。 ３ 地域（山口市）の景気動向 （調査活動） ?山口市の景気に関する資料の収集や取材活動を通して，山口市の景気の現状をとらえることができる。 ?自分たちが生活している地域の情報を収集することで，公民的分野における地域調査を体験させる。 ４ 景気回復の名称の決定 （収集した情報に対する考察） ?調査活動から得た情報を分析することを通して，景気回復に対する自らの意見を構築するとともに，景気回復の名前を決定することができる。 ?これまで収集してきた情報を「実態」「牽引者」「手段」などの視点から考