集団生物学第3回-seibutsu.biology.kyushu.PDF

2007年10月17日 集団生物学 第３回 矢原徹一 九州大学大学院・理学研究院 今日の講義の内容 • レポートについてのコメント – 主な質問への回答 • 第１章 保全生態学とは何か – 生物多様性の価値とは？ – 科学と価値の関係 • 九大新キャンパス生物多様性保全事業 レポート：悪い例 • ちょっと眠ってしまった。適応度の所は納得さ せられた。にしても人間は繁殖しすぎだ。メン デルの法則は高校の時習った事項＋αだっ たので取っ付きやすく、分かりやすかった。昼 ご飯の後にこの授業があるのが残念だ。 • 計算の所は受験勉強で何度か見たような内 容が含まれていて、親しみやすかったです。 何年か前の九大の入試は先生が作成したの かしら？（冗談です） レポート：具体性がない例 • 植物がそれぞれの性質により、よってくる虫 の種類がちがったりすることがわかった。 – そんだけ？ • 難しい計算（？）が多いように感じたが、進化 論のあたりは以前勉強したことがあったので、 比較的スムーズに理解できたと思う。 – ほんまに？ レポート：読みやすい例 • 「バラがなぜ蜜を出すのか」という問いの答えが、「花粉の消 費量を減らすため」だと知った時は、とても驚きました。「花粉 というものは子孫を残すために少しでも多く運ばれた方が良 い」というのが小・中学校で得た知識であり、ミツバチもその ための大切な役割を果たしているのだとばかり思っていまし た。まさかミツバチが花粉を多く消費してしまう迷惑な虫だと は考えませんでした。 • もうひとつ印象的だったことは、適応度が高い≠個体数が多 いということです。生存力、繁殖力が高いという考え方も、言 われてみれば納得するのですが、私がまず思いついたのは やはり「個体数が多い」ということでした。 レポート：良い質問の例 • 今日の講義の中の適応度についての話で、 「個体数が多い」というのは個体の性質では なく集団の性質だから、適応度が高いことに はならない、というのが興味深かった。 • 疑問に感じたのは、「生存力が高」く、「繁殖 力が高」かったら、個体数が多くなるのではな いか、ということだった。生存力が高く、繁殖 力が高いのに、個体数が少ない状態とはど んな状態かが分からなかった。 種間の比較 • ヒトはチンパンジーより個体数が多い – ヒトの方が適応している？ • ゴキブリはチンパンジーより個体数が多い – ゴキブリの方が適応している？？ • 大腸菌はヒトより個体数が多い – 大腸菌の方が適応している？？？ 個体間の比較 • 渓流環境では・・・ – 葉が細い個体の方が生存力が高い • 林内環境では・・・ – 葉が広い個体の方が生存力が高い • ミツバチもマルハナバチもいる環境では・・・ – マルハナバチをより多く訪花させる個体の方が繁殖力が 高い • ミツバチしかいない環境では・・・ – ミツバチをより多く訪花させる個体の方が繁殖力が高い 再び種間の比較 • ホモ・サピエンスは地球全体に広がり、ネアンデル タール人は滅んだ – ネアンデルタール人の祖先（ホモ・ハイデルベルゲンシ ス）は、約50万年前にアフリカから北上して、ヨーロッパに 分布を広げた。ヨーロッパ入植後約30万年経って、寒冷 気候に適応したネアンデルタール人へと進化した。一方、 現代人の祖先（ホモ・サピエンス）は、約5万年前にアフリ カから北上してヨーロッパに分布を広げた。このヨーロッ パ集団は、クロマニョン人の名で知られている。やがてネ アンデルタール人は