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- 2020-07-05 发布于浙江
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罗生门----芥川龙之介---日文原版
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羅生門
芥川龍之介
ある日の暮方の事である。一人のが、の下で雨やみを待っていた。
広い門の下には、この男のほかに誰もいない。ただ、所々のげた、大きなに、が一匹とまっている。羅生門が、にある以上は、この男のほかにも、雨やみをするやが、もう二三人はありそうなものである。それが、この男のほかには誰もいない。
何故かと云うと、この二三年、京都には、地震とかとか火事とか饑饉とか云うがつづいて起った。そこでのさびれ方は一通りではない。旧記によると、仏像や仏具を打砕いて、そのがついたり、金銀のがついたりした木を、路ばたにつみ重ねて、のに売っていたと云う事である。洛中がその始末であるから、羅生門の修理などは、元より誰も捨てて顧る者がなかった。するとその荒れ果てたのをよい事にして、がむ。が棲む。とうとうしまいには、引取り手のない死人を、この門へ持って来て、棄てて行くと云う習慣さえ出来た。そこで、日の目が見えなくなると、誰でも気味を悪るがって、この門の近所へは足ぶみをしない事になってしまったのである。
その代りまたがどこからか、たくさん集って来た。昼間見ると、その鴉が何羽となく輪を描いて、高いのまわりを啼きながら、飛びまわっている。ことに門の上の空が、夕焼けであかくなる時には、それがをまいたようにはっきり見えた。鴉は、勿論、門の上にある死人の肉を、みに来るのである。――もっとも今日は、が遅いせいか、一羽も見えない。ただ、所々、崩れかかった、そうしてその崩れ目に長い草のはえた石段の上に、鴉のが、点々と白くこびりついているのが見える。下人は七段ある石段の一番上の段に、洗いざらした紺のの尻を据えて、右の頬に出来た、大きなを気にしながら、ぼんやり、雨のふるのを眺めていた。
作者はさっき、「下人が雨やみを待っていた」と書いた。しかし、下人は雨がやんでも、格別どうしようと云う当てはない。ふだんなら、勿論、主人の家へ帰る可き筈である。所がその主人からは、四五日前に暇を出された。前にも書いたように、当時京都の町は一通りならずしていた。今この下人が、永年、使われていた主人から、暇を出されたのも、実はこの衰微の小さな余波にほかならない。だから「下人が雨やみを待っていた」と云うよりも「雨にふりこめられた下人が、行き所がなくて、途方にくれていた」と云う方が、適当である。その上、今日の空模様も少からず、この平安朝の下人の Sentimentalisme に影響した。のりからふり出した雨は、いまだに上るけしきがない。そこで、下人は、何をおいても差当りの暮しをどうにかしようとして――云わばどうにもならない事を、どうにかしようとして、とりとめもない考えをたどりながら、さっきから朱雀大路にふる雨の音を、聞くともなく聞いていたのである。
雨は、羅生門をつつんで、遠くから、ざあっと云う音をあつめて来る。夕闇は次第に空を低くして、見上げると、門の屋根が、斜につき出したの先に、重たくうす暗い雲を支えている。
どうにもならない事を、どうにかするためには、手段を選んでいるはない。選んでいれば、の下か、道ばたの土の上で、をするばかりである。そうして、この門の上へ持って来て、犬のように棄てられてしまうばかりである。選ばないとすれば――下人の考えは、何度も同じ道をしたに、やっとこの局所へした。しかしこの「すれば」は、いつまでたっても、結局「すれば」であった。下人は、手段を選ばないという事を肯定しながらも、この「すれば」のかたをつけるために、当然、その後に来る可き「になるよりほかに仕方がない」と云う事を、積極的に肯定するだけの、勇気が出ずにいたのである。
下人は、大きなをして、それから、そうに立上った。夕冷えのする京都は、もうが欲しいほどの寒さである。風は門の柱と柱との間を、夕闇と共に遠慮なく、吹きぬける。の柱にとまっていたも、もうどこかへ行ってしまった。
下人は、をちぢめながら、のに重ねた、紺のの肩を高くして門のまわりを見まわした。雨風ののない、人目にかかるのない、一晩楽にねられそうな所があれば、そこでともかくも、夜を明かそうと思ったからである。すると、幸い門の上の楼へ上る、幅の広い、これも丹を塗ったが眼についた。上なら、人がいたにしても、どうせ死人ばかりである。下人はそこで、腰にさげたのがらないように気をつけながら、をはいた足を、その梯子の一番下の段へふみかけた。
それから、何分かの後である。羅生門の楼の上へ出る、幅の広い梯子の中段に、一人の男が、猫のように身をちぢめて、息を殺しながら、
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