重粒子線治療と医工連携-ccr.gunma.pdfVIP

平成26年度 研 究 報 告 客員教授 重粒子線治療と医工連携 重粒子線医学研究センター　特任教授　金井　達明 　群馬大学の昭和地区キャンパスに重粒子線治 に、臨床医の患者の反応を見た直感（？：尊敬をこ 療装置（GHMC）が建設され治療を開始してか めて表現しています。直感を実行に移せるというの ら早４年の月日が流れました。この間、治療は順 は相当のバックグランドがなければできません。）を 調に行われ、治療部位も拡大し合計１０００人以 頼りにどんどんと進んできました。それが大きな成 上の患者を治療することができました。 果を生んでいることは確かであると思います。我々 物理屋と生物屋が先頭に立って重粒子線治療を リードしていたらこのような成果は得られなかったの ではないかとさえ思います。 図１　重粒子線医学センター全景 　日本における重粒子線治療は、１９９４年の放 射 線 医 学 総 合 研 究 所に始まりますが、 重 粒 子 線 治 療を支える基 礎 研 究は、その前のアメリカ Lawrence Berkeley Laboratory（LBL） で の生物?物理学の研究に始まり、現在でも放医研 や群馬大学などで続けられています。日本におけ る重粒子線治療は、LBL での知識をもとに当時 最大の重粒子線加速器であった理研での物理? 生物学的実験を重ねることから始まりました。この 図２　Tobias 博士の Heavy Ion Utopia 実験から日本独自の治療システムを確立し、放医 研の治療施設の建設?本格的な重粒子線治療の 　 図２に、１９８４年 の LBL の Tobias 先 生 が スタートに結びつきました。治療スタート時は、確か 来日時に彼が講演時間を待っているときにさらさら に物理と生物の研究者が先頭に立って重粒子線 と書いた漫 画を示します。 図の中の 4-8 Beam 治療を引っ張ってきました。治療スタート後の重粒 Ports Beam や Isocentric Delivery と書いて 子線治療の発展は、長年の X 線治療での経験と あるのは、患者の様々な方向から腫瘍に線量を 基礎的な重粒子の生物学的基礎研究の成果をもと 集中させることを実現させたいという願いで、現在 － 76 － では、回転ガントリーの開発ということで実現され 施設と理工学府があり、たくさんの理工系学生が 平成26年度 研 究 報 告 ようとしています。3D Radiography Detector 客員教授 学び社会に巣立っています。この中に重粒子線治 や Diagnostic and Therapy beams, same 療で活躍する人材を育てていく道の確立は期待が ports, scanned はおそらくCT 値 から水 等 価 持てます。学生諸君に、重粒子線治療の実際を知っ 厚への変換を直接測定するということで、現在 てもらうための一連の講義を現在計画しています。 でも陽子線治療で様々な努力がなされてい