高付加価値化に向かうインド食品市場 ri.co.jp.pdfVIP

［2］The Daily NNA 第 00010号 2012年（平成 24年）3月 23日（金） 高付加価値化に向かうインド食品市場 　第３回 付加価値商品の一つとして注目を集めているのが健康 　インド事業創造グループ 食品だ。インドはがんや糖尿病の罹患率が世界的に見 　青山　温子 ても高く、深刻な健康課題を抱えている。こういった ニーズを背景に、当初は輸入品として消費者に 「舶来 　◆拡大する加工食品市場と付加価値商品の追求 の味」 という価値を提供してきたオリーブ油も、近年 　2009～ 10年のインド加工食品市場は 1,210億ドル。 は「健康」 という新たな価値を訴求するようになって 今後も年平均 10％で成長を続け、2014～15年には きた（写真１）。 1,940億ドルに達する見込みである（注１）。 　この拡大の背景には、他の生活消費財同様、人口の 　◆健康「意識」と健康「知識」にギャップ 増加と可処分所得の上昇がある。加工食品市場ではそ 　日本総合研究所では、2011年 12月、アジア主要都 れらに加え、食習慣の変化も大きな要因となっている。 市の消費者を対象に、コンシューマーインサイト調査 伝統的な食文化が根強く残るインド市場だが、若年層 を実施した。本稿では、インド都市部 （ムンバイ）に を中心に海外の食文化が取り入れられ始めている。海 おける消費者の健康意識と食に関わる取り組み実態を 外食品の成功例として頻繁に取り上げられるオリーブ 東京との比較で紹介する（注５）。 油の今年の予想販売量は、前年比 1.5 倍の 6,000トン 　　 規模、金額ベースでは約 35億ルピー（約 58億円）に 達する見通しである （注２）。また、女性の社会進出、 核家族世帯の増加は、調理済み食品やレトルト食品な ど加工度の高い食品に対するニーズを生み出した。 2005年には 368.6 百万ルピーだった調理済み食品の 市場規模は、2010年には 820.3 百万ルピーと年平均 17％で成長している（注３）。 　この魅力的な市場に、外資企業は積極的な投資を続 けている。2000年４月から 2011年 12月までにインド 加工食品業界に流入した海外直接投資 （ＦＤＩ）は約 13.7億ドル （注４）。都市部の消費者にとって、ネス レやケロッグ、コカコーラなどは既におなじみのブラ 　ムンバイの健康意識は非常に高いといえる（図表１）。 　 ンドになっている。 　欧米企業に比 健康のための取り組みが 「必要」（注 6）と答えた人の べ遅れ気味だっ 割合は 2都市間で大きな差はないが、ムンバイでは「と た日本の食品企 ても必要だと思う」と、 より高い意識を表す人が東京 業も、徐々に展開 の２倍以上存在する。 　 の勢いを増して 　 いる。今年に入っ てからの主だっ た日本企業の動 きには、 ヤクルト 本社のハイデラ