飛躍が期待される機能性食品.PDFVIP

機能性食品 エグゼクティブサマリー 飛躍が期待される機能性食品 ■生活習慣病の予防、進行抑制が期待される機能性食品 高齢化社会の急速な進行とともに、高血圧や高脂血症、糖尿病、肥満など、生 活習慣病の羅患率が増加している。これらの疾患は加齢だけでなく、食事、運動、 休養が関連因子であり、特に、食事の影響が大きい。そこで、食生活の改善によ る生活習慣病の予防や進行の抑制が期待されている。 近年、日本が先駆けとなって機能性食品の研究開発を進めた結果、食品の持つ、 健康保持、疾病の改善・予防の効果が明らかになりつつある。すなわち、食品に は、栄養機能（１次機能）、味・香りなどの感覚機能（2次機能）に加えて、体調 調節機能（３次機能）があることが明らかになってきている。 食品の機能 機能を発揮できる 栄養機能 （1次機能） ように設計 ・加工 感覚機能 （２次機能） 機能を科学的に解明 機能性食品 体調調節機能 （３次機能） ■ 機能性食品を取り巻く環境整備が整い研究開発が活発化 1991年に食品の機能を表示できる特定保健用食品制度が発足し、2001年に は栄養機能食品を加えて、保健機能食品制度として整備されている。これらの環境 整備により、食品の機能を表示して差別化することができるようになり、サプリメ ントについても栄養成分の機能を表示できるようになっている。 こうした制度の充実によって、研究開発が促進され、2002年12月現在で324 の特定保健用食品が許可・承認されており、市場規模も2001年には4,000億円 に達している。 ■ 機能性食品の技術は食品メーカーを中心に多彩なプレーヤーが保有 雪印乳業や明治乳業などの食品メーカーを中心に、機能性食品の開発が進められ ているが、肥満・ダイエット分野への花王の参入や医薬品メーカーの参入、さらに は地方自治体や個人の出願も増加してきており、多彩なプレーヤーが特許出願を行 っている。 ⅰ 機能性食品 エグゼクティブサマリー 飛躍が期待される機能性食品 ■さまざまな機能への展開が図られる機能性食品 機能性食品としては、発酵乳や食物繊維を利用した整腸やカルシウム、ミネラ ルの補給などから実用化されており、最近では、体調調節機能の解明に基づく、 血圧低下や血糖上昇抑制、肥満、歯や骨の健康のための食品の開発が進められて いる。 特許出願件数の推移からも、機能性食品の開発が、肥満・ダイエット、コレス テロール、高血圧、血糖といった代表的な生活習慣病を中心とした研究開発に移 ってきており、科学的根拠に基づく研究開発が進んできていることが分かる。こ うした研究は、アレルギー、ガンなどにも展開され、機能性食品の応用がますま ■ 技術開発の拠点は関東地方、近畿地方を中心に全国に広がっている 主要企業20社の開発拠点を発明者の住所・居所でみると、関東地方に51拠点、 近畿地方に16拠点、中部地方に5拠点、岡山県に2拠点、北海道、九州に１拠 点ずつと、関東地方を中心に全国に広がっている。また、海外の技術開発拠点も 13拠点ある。 ■ 技術開発の課題 機能性食品の研究開発課題には、食品成分の機能解明・利用と、その機能を維 持または向上させるための食品化の２つがある。機能の解明・利用については、 植物などの天然物から有効成分を抽出したり、生理活性物質を特定したりという 解決手段がとられている。肥満・ダイエットなどでは、関与する酵素が特定され ており、この酵素阻害を指標とした新規物質の探求が進められている。今後、生 活習慣病に関する生体機能が次々に