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高度実践看護師養成の教育課程に関する提案 高度実践看護師制度推進委員会 野嶋佐由美、石垣和子、井上智子、片田範子、 小西美智子、小松浩子、手島恵、森恵美 協力者（中野綾美、藤田佐和） 日本看護系大学協議会では、専門看護師（Certified Nurse Specialist）を育成する大学 院教育課程を開始して 10 余年が経過した。平成 16 年には、南裕子委員長を中心として、 看護専門職大学院構想を提案し、平成 17 年度からは高度実践看護師制度推進委員会におい て、高度実践看護師（Advanced Nurse Practitioners：ANP）のコアコンピテンシーを提 １） 案するなど、高度実践を行う看護師のあり方を検討してきた 。そして平成 20 年度には、 専門看護師教育課程は 34 大学院 101 課程（20 年４月）となり、302 名の専門看護師が全 国で活躍している。専門看護師は、看護ケアの質の向上に寄与するとともに、ケア対象者の 健康や療養生活の質の向上に向けて、変革者として多くの活動を行い、看護の可視化に貢献 してきた。 医師不足、看護師不足が指摘されている現在、安全・安楽な医療を提供することが重要な 課題となっている。このような状況の中で、専門看護師は、所属している組織のニーズに応 じて、主に看護師を対象に相談・教育・倫理調整・研究等の機能を発揮し、看護の質を向上 させ、また患者や家族に対しては実践・調整等の機能を発揮し、ケアとキュアを統合した看 護ケアを行い、効果を上げている。 今後、国民に安心と納得のいく医療や看護ケアを提供するための医療制度改革を推進して いくためにも、専門看護師がこれまで以上に役割拡大を図るとともに、より質の高い高度な 看護実践能力を培い、国民の健康増進、疾患の治療・管理に積極的に貢献する専門職者とし ての役割を担っていく必要がある。 前委員会（南裕子委員長）では、変化する医療状況の中で、時代に即した高度実践看護師 を育成する教育課程の調査を行うとともに、がん看護、小児看護、僻地医療（仮称）３分野 ２） における高度実践看護師の役割についても検討してきた 。そして、将来の課題として、専 門看護師のさらなる力量形成に向けて、病理学、薬理学、病態のアセスメントについての専 門的知識、また健康―疾患のマネジメントに関するより専門的な知識と技能を修得すること が必要であるという結果を得ている。 これらにより本委員会は、今後の 10 年を見据えて、激変する時代において医療の質向上 をリードする高度看護実践家を育てていくことが課題であると考えた。そのためは専門看護 師が、今後、さらに幅広く看護の質の向上に貢献し、診断・治療に関わり、ケアとキュアを 統合した高度な看護実践を展開していく必要がある。そこで本委員会では、現行の専門看護 師の教育内容において一層の充実を図り、高度実践看護師の教育課程へと変革することを提 1 案する。 看護職の役割拡大と専門看護師の機能強化の必要性 「新たな看護のあり方に関する検討会報告書(平成 15年 3月 24日)」において、 「療養上 の世話を行う際に医師の意見を求めるべきかどうかについて適切に判断できる看護師等の 能力、専門性を養っていくことが必要である」と指摘され、この数年で看護師や専門看護師 の役割拡大に対する社会的要請が高まってきている。 2007（平成 19）年 4月には、 厚生労働省医療構造改革推進本部総合企画調整部会の「医 療政策の経緯、現状及び今後の課題について」の中で、医師と関係職種との役割分担のあり 方が挙げられ、 「関係職種（歯科医師、看護職員、事務職等）の資質の向上や役割分担のあ り方を検討する必要がある」ことが提言されている。また 2007（平成 19）年 12月 25日付 けの政府の規制改革会議では、「医師と看護師等の医療関係職等との間での適切