加工食品の原料原産地表示制度.pdfVIP

加工食品の 原料原産地表示制度 ―検討会中間取りまとめを中心に― 相模女子大学人間社会学部社会マネジメント学科教授 山口 由紀子 専門は、消費者行政・消費者法、経済法、国際経済法。社会保障審議会、相模原市消費生活審議会等の Yamaguchi Yukiko 委員を務める。 品を購入する際に参考にする情報として、価格、 はじめに 消費期限・賞味期限は６～７割が「いつも参考に ―加工食品の生産・流通の現状― している」と回答し、輸入品の原産国名、原料 2011年に、わが国において飲食費として支 原産地名については、「いつも参考にしている」 出された金額のうち、加工食品は５割、外食は が４割近くで、「ときどき参考にしている」と合 ３割程度とこれらの割合が８割を超えます＊１。 わせると７割を超えます。そして、参考にする 家計における調理食品や外食への支出が増え、 理由については、「原料が国産のものを選びた 食の外部化が進んでいることなどが背景にあり い」が６割半ばを占め、「原料が特定の原産国の ます。 ものを選びたい又は選びたくない」が４割など 食品の生産から消費までの過程をフードチェー となっています。 ン（図１）といい、その過程で、加工食品を製造 するために、食品製造業で原材料として用いら 加工食品の原料原産地表示制度とは れる食材の金額を見ると、国産の農林水産物は ７割、輸入農林水産物が１割程度、輸入加工食 食品表示に関する規制として、景品表示法（不 品は２割弱で、輸入食材が３割となっており、 当景品類及び不当表示防止法）では、一般消費 輸入の割合が増加しています。 者に誤認される表示を不当表示として規制しま 消費者庁の調査＊２によれば、消費者が加工食 す。そして食品表示法では、食品表示基準によ り、一定の事項の表示を義務づけます。食品の 食用 原産地について、加工食品の場合、輸入品は原 農林水産物 製造業者 流通業者 消費者 生産者 産国名の表示が、国内で製造される加工食品の 一部には原料原産地名の表示が義務づけられて 飲食業者 います。原材料の産地が表示されていなければ、 国産原材料を使用していると消費者に誤認され 図１ 食品の生産から消費までの過程 ― フードチェーン るおそれがあるためです。生鮮食品にも原産地 ＊１　農林水産省「平成23年（2011年）農林漁業及び関連産業を中心 表示が義務づけられています。 とした産業連関表（飲食費のフローを含む。）」（2016年） （htt