着床式洋上風力発電実証研究の現状と今後の展望.PDFVIP

着床式洋上風力発電実証研究の現状と今後の展望 東京大学 大学院工学系研究科 石原 孟 1. はじめに は5 万kW であるのに対して，2011 年は約88 万kW 2012 年 6 月 12 日に国連環境計画とブルームバー に急激に拡大していることが分かる。 グ・ニューエナジーファイナンス社が発行したGlobal Trends in Renewable Energy Investment 20121)には， 2011 年の再生可能エネルギーへの投資額は2570億ド ル （80 円/ ドル換算で約20.6 兆円）で前年比17％増加 という結果が報告された。昨年設置された新規発電設 備に占める再生可能エネルギーの割合は44％，中でも 風力発電への新規投資は 840 億ドル（80 円/ ドル換算 で約6.7 兆円）に達した。 2011 年末に世界の風力発電設備容量は2億3767 万 kW に達した。これは日本の 10 電力会社が所有する 電力設備容量の 2 億 396 万kW （2009 年度）を超え ている。日本における風力発電の設備容量は 2012 年 図1 拡大する欧州の洋上風力発電市場 3) 初めに250 万kW に達し，風車設置数も1832 基を超 えている。一方，陸上の平野部においては風力発電の 表 1 ウィンドファームの規模と風車規模の推移 3) 適地が減少し，山岳部ではアクセス道路整備などのコ ウィンドファーム 風車の規模 スト負担が増加していることから，今後風力発電の導 の規模(MW) (MW) 2001 25 1.8 入拡大には長い海岸線を生かした洋上風力発電の導入 2002 166 2.0 が期待されている。 2003 65 2.2 欧州では大規模洋上風力発電所が既に建設されてお 2004 30 2.3 り，各種の洋上風力発電設備支持構造物も提案されて 2005 91 3.0 2006 46 3.0 いる 2)。一方，日本では，欧州に比べ，台風襲来に伴 2007 80 2.8 う暴風，高波浪，そして地震などの自然環境条件が厳 2008 69 2.7 しく，欧州の事例をそのままわが国に適用することは 2009 60 2.6 できない。従って，日本における厳しい自然環境条件 2010 155 2.9 2011 199 3.6 に適合し，安全性，信頼性，経済性の優れた洋上風力 建設中 301 3.9 発電システムの開発は不可欠である。 承認案件 343 - 本稿では，欧州における着床式洋上風力発電の現状 計画案件 555 -