ピーマン叶中に含まれる有用成分の効率生产のための 刈り取り再生栽培法の検讨.doc

千葉大学大学院園芸学研究科 修　士　論　文 ピーマン葉中に含まれる成分の効率的生産のための刈り取り再生栽培法 平成23年3月提出 環境園芸学専攻 生物資源科学コース 袁　芸 目次 1．緒言 1 2．材料および方法 実験1 実験2 実験3 実験4 3．結果 10 実験1 10 実験2 実験3 実験4 図表 4．考察 5．摘要 37 6．謝辞 38 7．引用文献 39 1．緒言　 ルテオリン二配糖体は，一般にはベニバナ，ホウレンソウなどから抽出されたが，近年，高知大学がピーマン‘新さきがけ２号’の葉身中に高濃度で含まれることを報告した．ルテオリン二配糖体は害虫防除作用を持っており，ルテオリン二配糖体からは，ルテオリン一配糖体と希少分枝糖アピオースが生成できる．ルテオリン一配糖体は抗菌および抗ウイルス作用から，肝障害の予防効果があり（柳沼ら，2001），アピオースは微生物の増殖促進作用かある（金ら，2007）． ピーマンは生育期間が長く，一定期間内に収穫できる葉は少ない．また，予備実験の結果，ルテオリン二配糖体含有率は若い葉に多く含まれることから（第1図），ルテオリン二配糖体生産量を高める上での大きな限定要因となり得る． 一方，本研究室では，刈り取り収穫後に残った植物体から再生した新葉，側枝を繰り返し収穫する「刈り取り再生栽培」を行っている．刈り取り再生栽培を行うことにより，収穫期間（栽培期間）の延長が可能となり，播種，育苗，定植の回数が少なく，省力的である（馬島，2006）．また，生長点付近の若い葉を効率良く収穫するため，ルテオリン二配糖体を効率的に生産できる可能性がある． また，ピーマンは，強い枝と弱い枝に分枝するため，苗を摘心することで，腋芽の成長を促進し，強く旺盛な分枝を複数得ることで，収量増加が見込める． 植物体内のフラボノイド含量は，日射，温度，CO2濃度，肥料，土壌水分などの環境要因の影響を受けるである．（Li Lin，2009．Surin NILSAMRANCHIT，1996．Mateja Germ，2010．SARA A?，2005）．しかし，有用なフラボノイド成分を多く含む植物組み換え体を作出することも有効な手段であるが，現時点では生態系に及ぼす影響は明らかではなく，開発に用する費用も高いため，実用的ではない．日射，温度，CO2濃度などの自然条件は栽培期間内にコントロールするのは難しい上にコストも高い． 水ストレスを与えることで植物中のフラボノイド含量が増加することは，チョウ, 益母草などで明らかになっているた，水ストレスはベニバナ中のルテオリン一配糖体含量を増加させることから，通常栽培よりも葉身中に含まれるルテオリン二配糖体含量も増加させると考えられる．しかし,ピーマンは水ストレスに弱いため，生育に抑制が懸念される（沢畑，1984．Halil Kirnak，2003）．水ストレスによりピーマン葉身中に含まれるルテオリン二配糖体含有量ピーマンの生育を抑制せずによって，ルテオリン二配糖体の含有量を増加させる適切な水ストレスを明らかにする必要がある． のを供試し，を検討し，また，水ストレスと水ストレス与えるタイミングが 2．材料および方法 実験1．ピーマンの刈り取り再生栽培における刈り取り長の検討 1-1）実験場所と期間 　千葉大学園芸学部研究圃場内のプラスチックフィルム展張ハウスにおいて，2009年12月から2010年7月まで実験を行った． 1-2）供試品種 　本実験では，ピーマン（Capsicum annuum L. var. grossum）‘新さきがけ2号’（前川種苗）を用いた． 1-3）耕種概要 　2009年12月29日に播種用培土（たね培土2号，スミリン農産工業）を充填した72穴セルトレイに播種し，閉鎖型苗生産装置（苗テラス，MKVドリーム）にて育苗した．2010年1月19日に本葉2-3枚展開時の苗を栽培用培土（ちば土太郎，スミリン農産工業）を充填した10.5 cm径ポリポットに鉢上げし，閉鎖型苗生産装置で園試処方1/2単位の培養液を底面灌液して育苗した．2月11日に栽培ハウスに自作した独立ポット耕栽培システムに定植し，1 MJ当たり40～70 mLの園試処方培養液1/2単位を日射比例制御にて点滴灌液した．刈り取り時期は，高さ5 cmでは3月30日，4月22日，5月13日に，10 cmでは4月19日，5月12日，6月11日に，15 cmでは4月20日，5月23日，7月1日であった．草丈45 cmを刈り取り位置とし，そこから5，10および15 cm伸長した時点（刈り取り長）で，（手で）合計3回刈り取り収穫した．試験期間内のピーマンの花は全て摘花した． 1-4）調査項目 　刈り取った